リアルインパクト産駒の好配合馬トライフォーリアル

2019年04月17日(水) 12:00

●アドマイヤヴェラ(牡 栗東・須貝尚介 父カレンブラックヒル、母コズミックショア)

 父カレンブラックヒルは今年の新種牡馬で、現役時代は先行力を武器にNHKマイルC(GI)、毎日王冠(GII)など重賞5勝。父系はダイワメジャーを経てサンデーサイレンスにさかのぼる。初年度の血統登録頭数は64頭。

 母コズミックショアは新馬戦(ダ1200m)を勝ち、紅梅S(3歳OP・芝1400m)で4着という成績がある。母の父Elusive QualityはGone West系で、現役時代に芝8ハロンで1分31秒6の世界レコード(当時)を樹立。種牡馬としても成功し、04年にはSmarty Jones(04年ケンタッキーダービー-米G1、04年プリークネスS-米G1)の活躍により米チャンピオンサイアーに輝いた。他にRaven's Pass(08年ブリーダーズCクラシック-米G1)、Quality Road(10年メトロポリタンH-米G1などG1を4勝)など多くの活躍馬を出し、Quality Roadは2019年の米種牡馬ランキングで現在首位を走っている。

 本馬はHalo≒Drone≒Sir Ivor 4・5×5に、UnbridledとCrafty Prospectorを併せ持つパターンも好ましく、配合的には評価できる。芝・ダート兼用のマイラー。

●エオスモン(牝 栗東・須貝尚介 父ジャスタウェイ、母ショアー)

 母ショアーはドイツ産馬で、現役時代に大きなレースは勝っていないものの4戦2勝。母の半弟にブリーダーズCターフ、独ダービーなど4ヵ国でG1を制覇したShiroccoがいる。イモータル(16年共同通信杯-GIII・2着)、シュバルツボンバー(17年サウジアラビアロイヤルC-GIII・5着)、エックスマーク(14年鳴尾記念-GIII・6着)など兄弟はコンスタントに走っている。

 父ジャスタウェイの代表産駒ヴェロックス(19年皐月賞-GI・2着)と本馬は、母がドイツ血統で近い世代にSurumuを持つという共通点がある。芝向きの中距離タイプ。

●エフティクルーク(牡 美浦・金成貴史 父エピファネイア、母エフティマイア)

 母エフティマイアは新潟2歳S(GIII)を勝ったほか、桜花賞(GI)とオークス(GI)でも2着に食い込んだ活躍馬。これまで4頭の産駒を競馬場に送り出して3頭が勝ち上がり、現3歳のエフティイーリスがフェアリーS(GIII)で4着となっている。本馬の父エピファネイアは現2歳世代が初年度産駒。157頭が血統登録している。

 現役時代にジャパンC(GI)、菊花賞(GI)など4つの重賞を制し、日本ダービー(GI)では落馬寸前の不利を受けながら2着に食い込んだ。リオンディーズ(15年朝日杯FS-GI)、サートゥルナーリア(19年皐月賞-GI、18年ホープフルS-GI)の半兄で、母シーザリオはオークス(GI)やアメリカンオークス(米G1・芝10f)などを制した名牝。本馬はサンデーサイレンス4×3。エピファネイア産駒でこの配合は珍しくないが、Kris S.≒Habitat 3・5×5はおもしろい。芝向きの中距離タイプ。

●トライフォーリアル(牡 美浦・萩原清 父リアルインパクト、母エンプレスティアラ)

 レッドレグナント(18年アネモネS-OP・2着/父ロードカナロア)、ボルドネス(1000万下/父ハーツクライ)の半弟。母エンプレスティアラは未勝利馬ながら、ココシュニック(ステファノス、フィニフティの母)やゴールデンハインド(OP)の全姉にあたり、2代母ゴールドティアラはマイルチャンピオンシップ南部杯(GI)などダート重賞を5勝した名牝。

 父の母トキオリアリティーは名繁殖牝馬で、その配合的核心はEight Thirty≒War Relic 4×5・5。本馬はHold Your PeaceクロスとExclusive(ゴールドティアラの4代母)によってそのエッセンスを継続している。ステファノスとほぼ4分の3同血(母が全姉妹で父が親子)なのもいい。芝とダート、どちらでも走れそうだ。距離はマイル以下だろう。

●ファートゥア(牝 美浦・手塚貴久 父エピファネイア、母アロマティコ)

 母アロマティコは重賞こそ勝てなかったが、エリザベス女王杯(GI)3着、秋華賞(GI)3着、クイーンS(GIII)2着などの成績を残した。2代母ナスカは不出走馬ながらサンバレンティン(重賞2勝)、インティライミ(重賞3勝)の4分の3妹にあたる。ガーサント、ノーザンテースト、サンデーサイレンス、キングカメハメハと代々交配されてきた母は、同じ社台ファームで育まれたドゥラメンテやルーラーシップとよく似た配合構成。

 父の母シーザリオと母の父キングカメハメハは、サートゥルナーリアやリオンディーズを出した組み合わせで、これにサンデーサイレンスのクロスを施した本馬の配合構成はエピファネイア産駒の成功パターンになる可能性も考えられる。芝向きの中距離タイプ。

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栗山求

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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