【オークス】ポイントは“三角形” 豪脚さく裂に繋がったデムーロ騎手の気遣い

2019年05月23日(木) 18:01

哲三の眼

▲デムーロ騎手は見事クラシック完全制覇を達成(撮影:下野雄規)

オークスを制し、JRA騎手としてわずか5年目でクラシック完全制覇を果たしたデムーロ騎手。キャリア3戦、初の左回りと経験の浅いラヴズオンリーユーを勝利に導いたポイントは、馬の習性を熟知したポジション取り、さらにはゲートが開く前から行った丹念なケアにありました。それから津村騎手や川田騎手にも焦点を当て、タフさが要求される東京2400mだからこそ結果に直結した、馬の能力を引き出す計算や馬とのコンタクトを解説します。(構成:赤見千尋)

馬の習性を利用した巧みなポジショニング

 今週振り返るレースはオークス。まずはミルコのクラシック完全制覇であり、僕の好きなリアルスティールの妹ラヴズオンリーユーで勝利というのも良かったなという風に思っています。

 レースの中で注目していただきたいのが、今回はポジショニングです。道中でずっと他の馬の真後ろに付けるという選択肢ではなく、自分の進路の2馬身くらい前、両サイドに馬がいるという三角形の中に付けていました。

■5月19日 東京11R(13番:ラヴズオンリーユー)

 この話は前にもしましたが、馬の習性としてそこに入って行かざるを得ない状況を作っている。

 例えばゲート入りを渋っている馬に対して、両サイドからロープを絞ってゲート入りを促すと、ゲートを起点にした三角形で馬が入って行きやすくなる、というアプローチがあるのですが、そういう馬の習性を活かしたポジショニングが3コーナーくらいまで作れていたと思います。

 ラヴズオンリーユーはまだ経験の浅い馬で、終いの脚を引き出すために、馬の真後ろではなく、今回のような選択をしたのではないかと。

 さらに言えば、そのポジショニングを作れたのは、スタートが上手くいったから。前走は出負けして寄られてしまいましたが、横の馬に・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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