2019年05月26日(日) 18:02 68
▲アーモンドアイとダノンプレミアムの素顔を徹底比較(撮影:下野雄規、(C)netkeiba.com)
東のアーモンドアイ、西のダノンプレミアム。「現役最強馬」との呼び声も高い2頭がついに安田記念で直接対決! 大注目の2強対決に先駆けて、両馬のご担当者様(アーモンドアイ・根岸真彦調教助手、ダノンプレミアム・猿橋照彦調教助手)を直撃取材! 両馬の素顔を徹底比較します! おなじ2015年生まれの2頭。 もちろん性別や血統は違いますが、何か共通しているところはあるのでしょうか? 強さの裏側に迫ります!
(取材:美浦・佐々木祥恵、栗東・大恵陽子)
アーモンドアイ 普段は結構のんびりしていて、角馬場でハッキングの時などは全然進んで行かないのですが、馬場に入ってキャンターにいく時は走るぞっという感じで、気が乗ってテンションが上がってきます。早く走りたいのでしょうね。走り出したら引っ掛かるわけでもなく、良いフットワークで落ち着いています。
ダノンプレミアム 放牧から帰ってきた後は場所が変わったせいか、少しテンションが高めですけど、2~3日すれば慣れてきて、リラックスして逍遥馬道から角馬場とゆったり落ち着いて歩いています。CWコースや坂路に向く時はスイッチがバチっと入る感じはありますけど、賢い馬なので言うことを聞いたり指示を待ってくれます。やりたくないことがあっても「ちゃんとやらなあかんな」と理解して言うことを聞いている感じがあって、嫌だって言うにしても、分かった上で「嫌」っていうのを伝えていると思います。こちらが「もう少し(体勢が)起きてほしいな」「伸びてほしいな」って時も、最初はできなかったりやりたくないっていう時もありましたが、何日かしたらスッと受け入れていました。吸収も早いと思います。
1週前追切りに向かうダノンプレミアム(撮影:大恵陽子)
アーモンドアイ 1番はパドックでジョッキーが乗った時です。全然変わりますね。それまでは大人しく歩いているのですが、一気にスイッチが入ります。トレセンでも同じで、馬場に行く時がわかっているのでしょうね。
ダノンプレミアム パドックは一応2人で曳いていますが、1人で引っ張れる程度に収まっています。スイッチが入るのは馬場に入ってからですかね。誘導馬の後ろをついていくところは「いつでも行ける」という態勢でスイッチが入っています。
川田さん(将雅騎手)は手の内に入れて返し馬に行かれます。日本ダービーの時はそのままの勢いで走っていくかな? と思ったんですが、川田さんがグンッと抑えると、ピタッと待ってから行けていました。あれだけ歓声があるところでも指示を聞いていて、「偉いな」って思いました。
アーモンドアイ 馬体ですね。筋肉量が結構あります。肩回りだったりお尻だったり、そのあたりに注目してほしいです。桜花賞くらいまでは、そんなに筋肉がついていなくてこじんまりしていたのですが、昨年の夏を越えたあたりから、パワーアップした感じです。
ダノンプレミアム 2歳の頃から比べるとトモや肩のハリが出て、つくべきところにしっかり筋肉がついています。それに、顔が可愛いんです。その辺りを見てほしいです。
1週前の立ち写真撮影時のアーモンドアイ(C)netkeiba.com
アーモンドアイ 出遅れ癖があったのでスタートです。ゲートはそんなに大人しい馬ではないので、トレセンでも練習をしていて、その時は大人しくしていますが…。ただ本番では気が入ってしまってチャカチャカすることがありますからね。あとはやはり道中の位置取りですね。
ダノンプレミアム 弥生賞まではどちらかと言うと楽観的に見ていたかもしれないです。能力が高いのは感じていて、朝日杯FSは厩舎初めてのGI制覇になりましたが、気負っていたというよりは「どんな競馬をするのかな? あ、こういう勝ち方をするんだ。すごいな」と、スタンドで1人で見ていて少し不思議な感覚でした。
でも、日本ダービーは特別でした。ツメのことがあって皐月賞を使えなくて、回復していても距離もそうですが、ちょっとチャレンジな面がありました。それに、やっぱり「ダービー」ということもあって特別でしたね。金鯱賞もすごく間隔が開いていたので特別でした。その2走は無事にという気持ちもそうですが、ただ無事に走ってくるだけじゃ済まない馬で、「勝たないと」っていうのも思っていました。マイラーズCは1回レースに使えていましたし、能力を出せるだろうと思っていたので弥生賞までの時とそんなに変わらない感じで見ていました。
猿橋助手「能力の高さゆえ、ただ無事に走ってくるだけじゃ済まない馬で…」(撮影:大恵陽子)
アーモンドアイ陣営からみたダノンプレミアム
根岸助手 まだ底を見せていなくて強い馬だなと思って見ています。ジョッキ―の川田さんもうまいペースでいきますしね。
国枝師 やはりすごい馬だなと思いますね。(アクシデント明けだった)ダービー以外は勝っていますし、とても自信のある競馬をしていますので、やはり強敵だなと思います。油断はできない相手だなと考えています。
ダノンプレミアム陣営からみたアーモンドアイ
猿橋助手 みなさんと一緒で、すごい時計で勝っていますし、「強いな。すごい馬やな」って思います。お互いにいい競馬をしたいですね。ファンの人もそういうのを見たいでしょうし、僕らも(ダノン)プレミアムのベストパフォーマンスを見たいです。アーモンドアイも出せる力を出してもらって、それで(レース・結果が)どうなるのかっていうのを見てみたいです。それは他の馬に対してもそうですし、勝負なのでアーモンドアイに限らず誰にも負けたくないです。
いまだ底を見せていない強敵(C)netkeiba.com
お互いにいい競馬をしたい(撮影:下野雄規)
アーモンドアイ 特別にはないんですよね、可哀想なことに(笑)。でも青草が大好きなので、青草をいっぱいあげます。
ダノンプレミアム 愛撫とかはもちろんしますし、レースではこれからの季節だと午前中のレースと違って暑かったりもするので、「ご褒美」って質問に合っているかは分からないですが、ケアをしっかりしています。きちんと体を冷やしてあげるとか、マッサージをしたり体をほぐしたりするのはもちろん、脚元を冷やしたり、疲労回復の補液の点滴をしてもらうという治療面もそうですね。
アーモンドアイ 調教でいえばキャンターで回り終わったら、オフになりますね。落ち着いて歩いています。競馬でもそうで、ジャパンCの時もジョッキーが乗っていてもレースが終わったらのんびり歩いて帰ってきます。あれは完全に(レースが)終わったなってわかっているのだと思います。
ダノンプレミアム 調教を終えて厩舎に帰ってくると洗い場でもほっこりしていたり、馬房に帰ってくるとゴロゴロ寝転がってゆったりのんびりしています。
アーモンドアイ 大人しいですし、調教へものんびりと行けるんですけど、厩舎の中では気の強いところを見せたりはしています。手入れなど馬体をさわるとちょっと耳を背負って、いやだ。みたいな仕草をしますね。お腹とかお尻とか(笑)。
すべてにおいてポテンシャルが高いので…。1番の強みはスピードが速い、脚が速いということですよね。どこからでも差し切れるという脚を持っています。折り合ってもいけますから、ゲートをうまく出て、進路さえとれれば、あとは能力でいけるかなと思っています。
ダノンプレミアム 賢いところだと思います。賢くて、馬っぽさよりも人間に近い面があります。適度に気も強くて、「行きたい・行きたくない」、「やりたい・やりたくない」といった自分の思いは伝えてきますが、賢さからくる伝え方をするな、と感じます。
アーモンドアイ 皆さんも思っているように、目ですね。目が可愛いです。
ダノンプレミアム やっぱり、派手な顔じゃないでしょうか。めちゃくちゃカッコイイっていうより、可愛らしい系の顔をしていると思います。馬体の色でカッコよく感じますけど、顔だけなら可愛い顔をしています。放牧帰りは特にすごく可愛い顔つきをしています。
アーモンドアイのチャームポイントはキラキラ輝く瞳(C)netkeiba.com
可愛らしい顔に派手な流星が光る(C)netkeiba.com
アーモンドアイ 朝が強い弱いというわけではなく、のんびりした馬はいますね。人が来て調教の時間でも、ゴロンと寝ていたり。(アパパネがいつも寝ていたと聞いたことがありますけど?)それは眠いというよりのんびり、リラックスしていたんでしょうね。アーモンドアイは朝行くと、いつも起きています。
ダノンプレミアム そうですね。朝、ボーっとしていることはあんまりないと思います。
アーモンドアイ 青草ですね。青草はみんな好きですけどね。
ダノンプレミアム 好きというか、逆に嫌いなのが配合飼料に入っているペレットっていう固いもの。それだけ器用に鼻で避けて食べています。カイ食いが悪いわけじゃなくて、味が嫌いなんでしょうね。それ以外はペロッと食べています。
アーモンドアイ 癖というわけではないですけど、馬房の扉をあけるとすぐに顔を出してきます。僕だけではなくお客さんなど誰か人が訪ねてきても、顔を出します。撫でてもらえるのがわかっているんじゃないですかね。(愛想を振りまいているのでしょうか?)そうですね(笑)。その時も大人しくしています。
ダノンプレミアム 特定のカイバ(ペレット)だけ器用に残しているのは「またやってるな」って思います。乗馬ではそういう馬もいますけど、競走馬になるとバーッと残すか、ペロッと食べるかのどちらかの馬が多くて、こんなにきっちり選んで食べる馬は少ないと思います。
あと特徴的なのは、人をじっと見ています。構ってほしくて馬っぽく近寄ってくることはあんまりしないです。様子を見ながら寄ってきたりこなかったり、探っているんやと思います。その辺も含めて頭がいいのかなって思います。
根岸助手とアーモンドアイ。食事中でも顔を出してくれました(撮影:佐々木祥恵)
アーモンドアイ 食べている時は大人しくしていますね。食べている時に邪魔をされると耳を背負って怒っている馬もいますけど、怒らないですね。
ダノンプレミアム マイクロやキセノン(治療器の一種)はポカポカあったかくなって落ち着くんじゃないですかね。
アーモンドアイ やはり手入れの時でしょうか。女馬は結構多いですよね。(ブラッシングも嫌がりますか?)あまり好きではないですね。
ダノンプレミアム こちらの要求をし過ぎると、嫌そうにします。自分の考えがあるんじゃないですかね。「渋々聞くけど…」みたいな感じです。言うこと聞かされるっていうのが嫌なんだと思います。
アーモンドアイ (気分を損ねても)そのままですね(笑)。機嫌が悪くなっても一瞬ですからね。女馬は怒ったりすると性格悪くなることもありますけど、この馬は根に持つタイプではないので(笑)。多分ですけど(笑)。
ダノンプレミアム そっとしておきます。乗っていて、こちらが要求しすぎてイラついてきたなって思ったら、ちょっとなだめた方がいいです。そしたらまた機嫌も戻ります。あんまり引きずるようなタイプではないです。
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