2005年10月24日(月) 19:33
まずはお詫びと訂正から。前回、今回と2回に分けてお届けしているブリーダーズC展望。合田は不勉強にして、今年からレース順が大幅に変更になることを全く承知をしておりませんでした。今年のレース順は、以下の通り。
発走時刻(アメリカ東海岸時間)
ジュヴェナイルフィリーズ 午後1:20 ジュヴェナイル 午後1:55 フィリー&メアターフ 午後2:35 スプリント 午後3:10 マイル 午後3:45 ディスタフ 午後4:20 ターフ 午後4:55 クラシック 午後5:35
従いまして、前回有力馬を御紹介したディスタフ、ジュヴェナイルフィリーズ、マイル、スプリントが、「前半の4レース」というのは、全くの誤りでした。お詫びして訂正いたします。
ということで、今週のコラムは前回展望を行っていない4レースについて、スタートの早い順に有力馬を御紹介していきたい。
まずは、2歳牡馬・セン馬によるダート8.5fのジュヴェナイル。他馬より頭ひとつ抜きんでた存在が、デビューからここまで4戦無敗の成績で来ているファーストサムライだ。ジャイアンツコーズウェイの2世代目の産駒で、7月にチャーチルダウンズのメイドンでデビュー勝ちを飾ると、サラトガのアロウワンス、サラトガのG1ホープフルS、そして前走10月8日にベルモントパークで行われたG1シャンパンSといずれも楽勝続きの4連勝。2戦め以降手綱をとってきたジェリー・ベイリーは、この後御紹介するプライヴェイトヴァウという有力馬の主戦でもあったのだが、ベイリーはファーストサムライを選択。ますます信頼性の高い本命馬となった。
ファーストサムライにとって最大の敵は、ベイリーが「すごく迷った」末に袖にしたプライヴェイトヴァウ(父ブロークンヴァウ)だろう。9月17日にベルモントで行われたG1フューチュリティSを14馬身差勝ちしたパフォーマンスは実に鮮やかだった。
西海岸のデルマーで、メイドン(4馬身差)、G2デルマーフューチュリティ(5馬身差)と連勝してきたスティーヴィーワンダーボーイ(父スティーヴンゴットイーヴン)。前走9月18日にアーリントンで行われたG3アーリントン・ワシントン・フューチュリティを含めて中部地区で3戦3勝のソーサラーズストーン(父ガルチ)らが脇を固める勢力分布となっている。
続いて、3歳以上の牝馬による芝10fのフィリー&メアターフ。中心は、このレース連覇を目指すウイジャボードだろう。今季初戦となったロイヤル開催のG1プリンスオヴウェールズSで右前管骨骨折を発症して戦列を離れていたが、幸いにして症状は軽く、9月24日にニューマーケットで行われたG3プリンセスロイヤルSで復帰して、ここを見事に優勝。どうやら100%の状態で大一番を迎えられそうである。
迎え撃つ地元勢の筆頭は、前走10月1日にサンタアニタで行われたG1イエローリボンSを制して、9度目の重賞制覇を果たした6歳馬メガヘルツか。
昨年のこのレースの3着馬で、前走10月1日にベルモントパークで行われたG1フラワーボウルSも2着と、大崩れしない強さを見せているワンダーアゲイン。そのG1フラワーボウルS勝ち馬リスカヴァーズあたりも差がなさそうだ。
続いて、3歳以上による芝12fのターフ。ベルモントパークという、北米にしてはカーブが緩いトラックが舞台だけに、中心はやはり欧州勢となりそうだ。実績では、今季前半にG1プリンスオヴウェールズSとG1キングジョージを連覇したアザムールが最右翼か。前走9月10日の愛チャンピオンSで5着と敗れた後、軽い筋肉痛を起こして凱旋門賞を回避した影響がどこまで残っているかが、カギとなりそうだ。
ステップレースを使わずに、キングジョージからぶっつけというローテーションで挑んだ凱旋門賞で、連覇を逸して3着に終わったバゴ。今季後半の目標として、早くから「BCからJC」という路線を表明していただけに、ここは「勝負がかり」であることは間違いなさそうだ。
フォワ賞3着、凱旋門賞4着ときているシロッコ。ここが今季3戦めと馬がフレッシュで、一発あればこの馬か。地元勢では、ここまで5戦無敗という成績で来ているシェークスピアが人気を集めそうだが、前走10月1日にベルモントパークで行われたターフクラシックの内容を見ると、欧州勢を止められるほどの器ではなさそうだ。
さすがというメンバーが揃ったのが、メインとなるダート10fのクラシックだ。
中心は、昨年秋にジェイスン・オーマン厩舎からリチャード・マンデラ厩舎に転厩して以来、G1マリブS、G2ストゥルブS、G1サンタアニタH、そして前走10月1日にサンタアニタで行われたG2グッドウッドHと、負けなしの快進撃を続けているロックハードテンと見る。JCダートに登録があるが、ぜひここも勝った上で、来日が実現して欲しいものだ。1週前追いきり(20日)の後、軽い挫石を発症。東海岸への移動日程が変更になるという、いささか気になるアクシデントはあったが、名伯楽マンデラ師が使ってくる以上、力を出せる状態であると信じたい。
相手は、8月にデルマーで行われたG1パシフィッククラシックを境にして、馬が一変したボレゴか。それ以前は、サンタアニタH3着、マーヴィンリロイH3着、カリフォルニアンS4着、ハリウッドGC2着という成績が示す通り、いかにも歯がゆい善戦マンだったこの馬が、パシフィッククラシックで人気馬たちをなで斬りにして重賞初制覇をG1で飾るや、前走10月1日にベルモントパークで行われたG1ジョッキークラブGCでは2着以下に4.1/2馬身差をつける快勝。4歳にして勝つ味を覚えたこの馬が、ロックハードテンにとって最大の敵となりそうだ。
そんな西海岸勢を迎え撃つ、東海岸勢の代表が、前走9月10日にベルモントパークで行われたウッドウォードSを含めて、今季この路線のG1・3勝のセイントリアムだ。春、西海岸に乗り込んで戦ったサンタアニタHでは1番人気を裏切って6着と大敗しているだけに、ここはなんとしても雪辱したいところだろう。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。