2005年11月01日(火) 11:03
総括すれば、荒れたブリ−ダ−ズC(10月29日、ベルモントパ−ク)だった。「○連勝中」「ここまで無敗」といった看板を背負った期待馬がコロコロと敗れ、ピック6の的中はゼロ。開幕戦と最終戦で本命馬が勝ってなんとか格好はつけたものの、結果を改めて振り返っても、ナントモ収まりが良くないと言うか、居心地の悪い印象を拭えないのである。 レ−スはいずれも見どころがあるもので、勝ち馬もそれぞれ立派で称賛されてしかるべき馬たちだ。だから、素直に勝ち馬と関係者を褒め讃えれば良いのだが、どうもそういう気にならないのだ。 自分はそんなにヘソ曲がりだったかしらと、我が胸の内を覗くと、心中の悪い虫たちが、タラレバを言いたいと騒いでいる。 A級戦犯は、スプリントのロストインザフォッグとマイルのルロワデサニモ−の2頭だ。ともに、ライバルたちに影をも踏ませぬ圧倒的パフォ−マンスを期待されながら、引き離しての圧勝どころか辛勝することすら出来ずに、いずれも連勝がストップ。なんとか2着を確保したルロワデサニモ−はともかくとして、ロストインザフォッグにいたっては影もプライドもボコボコに踏みつけられての敗戦(7着)で、レ−ス後の陣営からは「まったく言い訳の出来ない完敗」とのコメントが出る始末だった。
ダラレバが言いたいのは、ここから。ロストインザフォッグがこんなにだらしがないのなら、メイショウボ−ラ−が予定通り参戦していたら、ひょっとすると勝つ場面まであったかもしれないと、無益な妄想が頭に広がってしまうのだ。
マイルだって、ルロワデサニモ−がそんなに強くないのなら、ラインクラフトが完調で出ていたら、アメリカンオ−クスにおけるシ−ザリオの再現もありえたのに、と思う。
一番残念なのは、そのシ−ザリオだ。一時期彼女がアンティポストで有力視されていたフィリ−&メアタ−フは、半マイル通過が48.92秒、6F通過が1分13秒62という超スロ−になる凡戦。勝ったインタ−コンチネンタルは、マイルでは一流の力を持つ名牝だが、9ハロン戦になると2戦2敗、10ハロン戦になるとこれまで走ったこともなかったという馬だ。シ−ザリオが出ていたら、アメリカンオ−クスの時のように3コ−ナ−から自力で勝負に出て、あの時と同じようにちぎって勝ったとしても、何の不思議もなかったと思う。 もう1頭、出ていれば勝ったのに、と思うのがタ−フのディ−プインパクトだ。勝ったシロッコはともかくとして、2着にきたエ−スは、ゼンノロブロイが2着だったインタ−ナショナルSで4着だった馬だ。勝ったシロッコと2着の間に開いた1.3/4馬身差など、ディ−プなら疾風のような脚で瞬く間に縮めて、逆に1.3/4馬身以上の差をシロッコにつけていただろう。
これで、ブリ−ダ−ズC・8レ−スのうち、半分の4レ−スは日本馬の勝利.......!?
ウ−ム,どうもいかん。これまではどんな時でも、前向きなことを言おう、次につながることを書こう、と心がけてきたはずなのに、なんだか年寄りの愚痴的粘着型のブリ−ダ−ズC回顧になっている。少し前なら、日本馬なんか出ていなくったって、こうした世界最高峰の競馬は常に面白いのですよ、皆さん注目しましょうと、胸を張って評論していたはずなのに..... 。
つまりはそれほど、日本の馬が強くなっている、という感覚が、明確になっているのである。
な−んてことを書くと、ジャパンCで日本の精鋭が外国からやってきた「格下」にあっさり負けたりするんだよね。競馬って奴は、まったく、もう。
だから........。ディ−プインパクトが出るならともかく、もしディ−プインパクトが出ない場合は、今年のジャパンCにおける合田の本命は外国馬になります、と、今から予告しておきます。楽しみにしていて下さい。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。