2019年10月02日(水) 18:02 280
▲ラストのテーマは都市伝説! SPゲストの武史騎手を交えて検証します (撮影:山中博喜)
横山典弘騎手との対談もいよいよ最終回。ラストのテーマは、ノリさんにまつわる「都市伝説」。「馬房のなかで○○を…」「“武史”命名の真相」などなど、まことしやかにささやかれている噂を、ご本人に直撃します。
さらに、競馬ファンの間では有名な「ポツン騎乗」について、「そんなに興味があるなら、俺自身が喋ろうか(笑)」と、なんと! ノリさんの口から語られることに。
(取材・文=不破由妃子)
ミスタードーナツでショーケースにある商品を全部買い占めた
横山 あ、それはホントの話。
佑介 伝説ですよね(笑)。
横山 買い占めたといっても、もう遅い時間だったからそれほど…。いや、10箱くらいはあったかな(苦笑)。
──調教に出遅れたお詫びとして買っていったという説も…。
横山 いやいや、そんなんじゃないよ。同じようなことを前からやってるの。昔は中京も滞在だったんだけど、ある日「牛丼喰いたいな」と思って、20個くらい寮に持って帰ったことがあって。そうしたら、次の日たまたま食堂の人が炊飯を失敗したらしくて、その牛丼のご飯がすごく重宝したっていう(笑)。
あとは、コンビニでカップラーメンを買い占めて、食堂に積んでおいたこともあったなぁ。
──なるほど。横山さんにとっては、とくに珍しい行動でもないわけですね。
横山 そうそう。子供の頃の夢を叶えているようなもので。
佑介 たしかに子供にとって“大人買い”は憧れですよね。
横山 そうでしょ? 子供の頃、「大人になったら1リットルのコーラをラッパ飲みしてやる」とか、「ヤクルトをジョッキいっぱいに注いでガブガブ飲みたい」とか思ってたもん(笑)。
佑介 わかります。僕はノリさんへの憧れが高じて、伝説の真似をしました(笑)。
──佑介さんも“買い占め”を実行されたんですか?
佑介 はい。ドーナツを買い占めたこともあるし、コンビニでやきそば弁当を全部買ったこともありますよ(笑)。
▲ノリさんへの憧れが高じて、伝説の真似をしたことを告白した佑介騎手 (撮影:山中博喜)
馬房のなかで、よく馬と一緒に昼寝をしていた
横山 ああ、昔はそんなこともあったね。攻め馬が終わってから、あちこちの厩舎に顔を出して、行く先々で酒を飲んでた時期があってね。で、ほろ酔いで馬を見に行って、そのまま馬房のなかで寝ちゃう、みたいな。
──そういうときって、馬も横になって寝てるんですか?
横山 ほとんどの馬は立っていたけど、なかには一緒に横になっている馬もいたよ。
そういえば当時、クラウンシチーっていう馬がいてさ。噛みついたり蹴ってきたり、すごく気の悪い馬で、厩務員さんも安易に近寄れないくらいだったんだけど、その馬の馬房で昼寝していたことがあって。そしたら厩務員さんが、「大変だ! ノリが蹴られた!」って騒ぎ出して…。
佑介 ああ、蹴られて倒れていると思われたんですね(笑)。
横山 そうそう、もう大騒ぎになっちゃって。俺はただ酔っ払って寝てただけなんだけどね(笑)。酔っ払って行くと、馬も「こいつヤバイな」と思って、逆に冷静になるのかも(笑)。
佑介 子供を噛まないのと同じ理屈かもしれませんね。本当に警戒心がない人には、何もしてこないっていいますからね。
──佑介さんは、馬とお昼寝した経験はないんですか?
佑介 僕も馬が大好きだから、乗馬用のおとなしい馬のお腹に頭を乗せて寝っ転がったりしたことはあるけど、さすがにノリさんみたいにぐっすり寝たことはないです(笑)。
▲佑介騎手「さすがにノリさんみたいにぐっすり寝たことはないです(笑)」 (撮影:山中博喜)
実はネットの某巨大掲示板を見ている
佑介 これは噂というより僕情報なんですけど、前に「佑介、2ちゃんねるって知ってるか?」って聞いてきたことがありましたよね?
横山 そんなことあったっけ?
佑介 はい。ノリさんの口から“2ちゃんねる”っていう言葉が出たこと自体、すごく意外だったんですけど。
横山 それそのものは見てないよ。ただ、たまに携帯で何か調べたりしていると、“横山典弘”つながりでなんかそういう記事が出てくることがあって。たとえば、ホクトベガの話だとか、藤沢先生との話だとかさ。そういうのを見てね、「みんな勝手なこと言ってるなぁ」と思うわけ。
佑介 ああ、そういうことなんですね。
横山 うん。さすがに2ちゃんねるは見ない。俺もそこまで心臓強くないから(笑)。あと、“ポツン騎乗”がどうこうって言われているのは知ってるよ。
──以前、福永さんのコラムでも横山さんの「ポツン騎乗」を解説した回がありましたが、すごいアクセス数だったと聞きました。みんな興味津々なんですね。
横山 そうなんだ。そんなにアクセスがいいなら、俺自身が喋ろうか(笑)。あのね、勝負のポツン騎乗なのか、そうするしかないポツン騎乗なのかで全然違うから。
たとえそうするしかないポツン騎乗であっても、ひょっとしたら、もしかしたらっていう期待を込めて、後ろからソーッと行くこともある。もちろん、そのまま何にもできずに、単にケツからケツで終わってしまうこともあるけどね。
だから、ポツン騎乗って一括りに言われても、馬の状態の良し悪しを含め、ホントにいろんなケースがあるから。それを取材にもこないで批判してくる記者もいるからね。
何も考えずにポツン騎乗をしているわけではないのに、すべてをジョッキーのせいにされてしまう現状も、はっきり言ってどうかと思うけどね。
「武豊騎手の歴史を塗り替えてほしい」という思いから“武史”と命名した
横山 そうそう、豊の歴史を塗り替えてほしくて、俺が考えたんだよ。
武史 えっ!? その話、ホントだったの?
横山 そんなわけねーだろ(笑)。
武史 なんだよ、もー!
▲自身の名前の由来を聞いて驚く武史騎手 (撮影:山中博喜)
横山 俺じゃなくて、嫁さんがつけたんだよね。「かずお」とか「たけし」とか、今どきじゃないけど、親しみやすくて呼びやすい名前が一番だっていうことで。
──じゃあ、この噂はウソということですね。
横山 うん。ただ、どうなるかはわからないよね。本当に歴史を塗り替えるかもしれないし。
武史 もちろんそうなりたい。それ以前に、小さいときからお父さんの記録を超えたい、お父さんより活躍したいとずっと思ってた。「俺を超えたいんだったら、俺と同じことをしていたら無理だ」とも言われていたし。
佑介 その言葉が今の武史の原動力になってるんだね。
武史 そうですね。あと、競馬学校に入る前だったかな、「お前は将来、どうなりたいんだ? それを突き詰めて考えれば、おのずと何をすべきか答えが見えてくるだろ?」って言われたことをすごく憶えています。
佑介 名言ですねぇ。
横山 俺、けっこういいこと言ってるな(笑)。実際は名言でもなんでもなくて、自分が思ってやってきたことをただ伝えてるだけなんだけどね。
──前回、武史騎手にゲストでご出演いただいたとき、「父を負かす気しかない」と力強くおっしゃっていたのが印象的です。“目指せ、横山典弘超え”ですね!
武史 はい!
横山 俺もデビューしたばかりの頃から「絶対に誰にも負けない」って言ってたし、そんな俺の息子だからね。でも、親として一番に思うのは、とにかく無事にということ。勝負はね、勝つも負けるも時の運だから。健康で無事に乗っていってくれれば、それ以上うれしいことはないね。
▲「勝つも負けるも時の運、健康で無事に乗ってほしい」と横山騎手 (撮影:山中博喜)
(文中敬称略、了)
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。