2019年10月25日(金) 18:00
11月のGI「マイルCS」に向かう日程は時代とともに変化し、最近10年のマイルCSで3着以内に好走した30頭の直前レースは、うち「9頭」が先週の東京の富士S1600m組。つづいて「6頭」がこのスワンS1400mグループ。以下「4頭」が天皇賞(秋)2000m組…なので、GIを展望する上でも非常に重要な位置を占める。
昨年の安田記念馬モズアスコット、今年4戦3勝の上がり馬ダイアトニック…など、メンバーレベルは低くない。前出6頭のスワンSの成績は「8、1、2、3、2、1」着でもある。金曜の大雨は夕方には曇りに変わる予報だが、土曜も晴れの予報ではないので、回復しても「稍重〜重馬場」か。時計勝負ではない可能性が高い。
人気のモズアスコットは、ダートで活躍したアメリカ血統の牝系(それもかなりパワフルな一族)に、日本では決して快速系ともいえないFrankel(その父Galileo)の組み合わせ。重馬場に出走経験はないが、高速の良馬場より少しタイムがかかる馬場のほうが、連闘の安田記念をパワフルな末脚(上がり33秒3)で突っ込んで制した底力が生きると思える。
前回の毎日王冠は、仕上がりもう一歩で6着(0秒6差)だったが、後方から直線は一番外に回って上がり34秒0(勝ったダノンキングリーに次ぐ2位)。ゴール直前では次走を予感させる鋭さで伸びていた。負担重量は、安田記念から1年以上も経過しているため57kg。これは他馬との比較で非常に有利な別定重量だろう。まだ5歳。衰えているわけではない。昨年はこのレースを58kgでハナ差2着だった。
その、昨年の勝ち馬ロードクエスト(父マツリダゴッホ)は、3歳秋(16年)の京成杯AHを勝って以来、約2年ぶりの勝利だった。渋り気味の馬場は新潟2歳Sのときと同じ。出走例は少ないが距離1400mは【1-1-0-3】。ベストにも近い。最内枠からコースロスを避けられそうなので、今回はちょっと怖い。
上がり馬ダイアトニック(父ロードカナロア)は、別に嫌うことはないので人気でも軽視はしないが、穴馬はセイウンコウセイ(父アドマイヤムーン)。ずっと善戦止まりと凡走が続くのは「時計不足」が最大の原因で、馬場の回復が遅れるとチャンスが出てくる。頭角を現したのは重馬場の渡月橋S(京都1400m)であり、1200mに出走することが多いが、距離1400mはダートも含め【2-3-0-3】。もまれない外枠なら、ムリにハナを切らなくても好位追走の形でも能力は発揮できる。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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