2019年12月10日(火) 18:01 44
ウイングレイテスト
光輝くたてがみをなびかせるウイングレイテスト。令和の時代、サクラユタカオーの血を引く数少ない1頭だ。初重賞で2着と素質の高さを示したが、パートナーの松岡正海騎手も青木調教師も口を揃えて「まだまだ成長途上」と語る。GIの大舞台への挑戦を目前に松岡騎手、青木調教師にお話を伺った。
(取材・文=佐々木祥恵)
青木調教師がウイングレイテストを牧場で初めて見たのは、馬が1歳の時だった。
「体はボリュームがありました。ただ脚が長いタイプではなく、少し言葉は悪いのですがずんぐりしているなという印象でした。同じスクリーンヒーロー産駒で毛色も栗毛と同じ、ウインゼノビアとは体のタイプが少し違いました」
2歳になって美浦トレセンに入厩していても、その印象は特に変化はなかったという。
「変わらず子供っぽさもありましたし、良くなってはいるけれどまだまだ良くなりそうな感じでした」
牧場時代は、調教でかなり良い動きを見せていて、評判にもなっていた。
「調教に跨った松岡騎手も、先生、本当に良いですよと話していましたが、入厩当初の完成度はウインゼノビアの方がずっと高かったです。体型も垢抜けていましたし…。グレイテストの方は、こういう体付きでも攻め馬は動くんだなというのが正直な感想でした」
一方、松岡騎手は調教に初めて乗った時に「フットワークの良い馬」という印象を持った。
「ウインブライトの時もそうでしたし、調教に乗っていたディーマジェスティの時もそうだったのですが、芝で走る馬の場合は、フットワークというのを大事にしています。ウイングレイテストも時計よりも、フットワークの良さが印象的でした」
走る馬特有のフットワークの良さが印象的だったという(撮影:佐々木祥恵)
デビュー戦は、6月23日の東京芝1600m。好スタートを切ったが、中団からじっくりとレースを進めたものの、半馬身差の2着に惜敗する。
「ハナに行こうと思えば行けるけど、ジョッキーは先々を考えて競馬を教える意味であの位置取りで競馬をしたんです。4コーナーで外にはじき出されて、外のさらに外を回らされて加速するのが遅れてしまいました。勝った馬は内をロスなく伸びてきましたが、この馬はとても長い距離を走っているんです。負けて悔しかったですけど、強い内容で逆に走ると確信できました」
松岡騎手は実戦に臨んでみてフットワークの良さを改めて実感したようだ。
「全体的なフットワークの良さというのは、なかなか持っている馬はいません。これは天性のものです。レースでもフットワークの良さとスピードの乗りが結構良いと感じました」
2戦目の未勝利戦は、7月14日の福島芝1800m。ゴール前では差を詰め寄られながらも初勝利を挙げた。
2着馬の追撃をハナ差凌ぎ初勝利を挙げた(撮影:下野雄規)
抜け出してからソラを使ってフワフワしてしまったのが僅差になった要因だった。ソラを使うのは課題ではあるが、青木師はここで勝てたことは大きかったと話す。
「この馬が未勝利を勝ったレースの翌週あたりから夏が一気に来ました。北海道にすぐに戻って生まれ故郷のコスモビューファームで昼夜放牧中心の生活で疲れを癒しつつ成長を促しました。1番暑い時期を牧場で過ごせたは良かったですね」
北海道から帰厩したウイングレイテストには、当然変化があった。
「馬体重的には変わらないのですが、腹回りは明らかにシュッと締まっていました。付くべき箇所の筋肉はそのままで少しパワーアップして、余計なものは削ぎ落されたという感じです」
それでも青木師が「まだ子供マッチョなんですよね」と表現するように、まだ心身ともに子供っぽさは抜けきっていない。それだけに伸びしろはまだまだあるということにもなる。
青木調教師「体のパーツパーツが大きいんですよ!」(C)netkeiba.com
松岡騎手も放牧から戻ってきたグレイテストに変化を感じていた。
「2戦目でソラを使うような気性面での弱さというのはだいぶ抜けてきました。夏場休ませたことで、肉体的な成長よりも精神的な成長の方があるように感じました」・・・
netkeiba特派員
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