2/29の阪神開催で、30年に及ぶ騎手生活にピリオドを打つ四位洋文騎手。netkeibaでは全3回の「四位洋文騎手・引退特集」を実施します。
最終騎乗日にはたくさんの騎乗依頼をいただいており、引退式も行われる予定。「お願いだから大げさにしないで! 胴上げもしないぞ!」と四位騎手は言いますが、名手の引退とあってファンからも関係者からも、たくさんの想いが注がれることでしょう。
引退特集の第2回は、四位騎手のドラマチックな騎手人生を振り返ります。GI・15勝という華々しい活躍の裏で経験した、新人時代の軋轢、活躍していく同期への焦り…。悩める後輩騎手たちへ、いまの四位騎手だからこそ言える熱いメッセージを届けます。
(取材・構成=不破由妃子)
「今だったら潰されていたかも」生意気だった新人時代
──刻一刻とラストライドが近づいてきました。やはり胸に迫りくるものがありますか?
四位 まだあんまりピンときていないかもしれません。ただ、(最終日は)たくさん騎乗依頼をいただいて、ちょっとビックリしてます(笑)。
でもうれしいですよね、そうやって声を掛けてもらえるのは。阪神競馬場サイドも、引退式を準備してくださってね。「お願いだから、大げさにしないでください」って言ったんですけど(苦笑)。
──四位さん、それは無理な相談ですよ。ダービー2勝を含む、GI・15勝ジョッキーが鞭を置くんです。
四位 いや、ホントにね、静か〜に辞めたいんです。それなのに、(福永)祐一なんか「四位さん、神輿作りますか?」とか言ってきて(笑)。「胴上げもしないぞ!」って言ったんだけど、大丈夫かな…。
──大丈夫です、気づいたら宙を舞ってますから(笑)。
四位 もうホントにそういうのは…(苦笑)。競馬界からいなくなるのであれば、大々的にやってもらってもいいんですけど、仕事が変わるだけで、これからもずっといますからね。
──そうですよね。とはいえ、ジョッキーとして丸29年。そのキャリアが終わるわけです。感慨深いものがあるのでは?
四位 そうですね、よくここまで乗ってきたなと。振り返ると、僕は本当に恵まれていたなと思います。デビューした当時なんか、ホントに生意気でね。師匠(古川平元調教師)には反抗するし、厩舎のスタッフともケンカばっかりしてたし(笑)。先輩ジョッキーにもよく怒られたなぁ。
...