ニュージーランドの年度代表馬ら参戦のドンカスターマイル展望

2020年04月01日(水) 12:00

開催についての懸念や大幅な賞金削減がある一方で…

 4月4日(土曜日)にシドニーのロイヤルランドウィック競馬場で行われる、「ザ・チャンピオンシップス」初日のメイン競走に組まれた、G1ドンカスターマイル(芝1600m)の展望をお届けする。

 何よりも気懸かりなのが開催の有無だが、主催するレーシング・ニューサウスウェールズは、この原稿を書いている段階(31日・火曜日)では、開催を行う意向を示している。

 その一方で、「ザ・チャンピオンシップス」の大幅な賞金削減が29日(日曜日)に発表されており、ドンカスターマイルも当初の総賞金300万ドルから、半減の150万ドルとなっている。

 ブックメーカーによる前売りの中心にいるのが、ニュージーランドの現役最強牝馬メロディーベル(牝5、父コマンズ)だ。

 マタマタに拠点を置くジェイミー・リチャーズ厩舎から、2歳の春にデビューを果たしたメロディーベルは、5戦目にアワプニのG1サイヤーズプロデュースS(芝1400m)を制しG1初制覇を果たしている。

 3歳時は伸び悩んだものの、4歳時に入るとニュージーランドの古馬戦線を席巻。1400mのG1BCDスプリントから2000mのG1ニュージーランドSまで、牡馬相手のG1を5勝もする大活躍を見せ、ニュージーランドの年度代表馬に選出されている。

 5歳となった今季も快進撃は続き、2戦目からヘイスティングのG1を3連勝。陣営はここで満を持して、3歳秋以来となるオーストラリア遠征を敢行し、フレミントンの牝馬限定G1エンパイアローズS(芝1600m)に参戦。ここも見事に制して、自身10度目のG1制覇を果たしている。

 その後、フレミントンのG1マッキノンS(芝2000m)では、愛国からの遠征馬マジックワンドの2着に惜敗。この一戦を最後に春のキャンペーンを終了すると、この秋もオーストラリアを拠点に走り、コーフィールドのG1フューチュリティS(芝1400m)3着、同じくコーフィールドのオールスターマイル(芝1600m)3着の成績でここまできている。

 なお、メロディーベルと同様にテアカウレーシングが所有し、2月29日のG1チッピングノートンS(芝1600m)を含むG1・2勝馬で、春のG1コックスプレート(芝2040m)はリスグラシューの3着だったテアカウシャーク(セン5、父リップヴァンウィンクル)は、ここは回避して、4月11日のG1クイーンエリザベスS(芝2000m)に向かう模様だ。

 2番手評価は、9頭出しで臨む予定のクリス・ウォーラー厩舎の上がり馬シェアドアンビション(セン4、父ボーントゥシー)だ。

 愛国産馬で、3歳5月に祖国でデビュー。3戦2勝の成績を残した後、19/20年シーズンから豪州を拠点としている。春を3戦3勝の成績で終えると、秋初戦となったワーウィックファームの条件戦(芝1600m)で3着に敗れて連勝がストップ。しかし、3月7日にランドウィックで行われたLRランドウィックシティS(芝2000m)で、18年のG1クイーンランドオークス(芝2200m)勝ち馬ヤングスターを2着に退けて快勝している。

 重賞挑戦はここが初めてとなるし、1600mの距離もこの馬にはやや短いかと思われるが、未知の魅力が前売りマーケットでは支持されている。

 3番手評価が、3歳世代を代表しての参戦となるブランデンブルグ(牡3、父バーガンディ)だ。

 ニュージーランド産馬で、シドニーを拠点とするジョン・サージェント厩舎から2歳秋にデビュー。初勝利を挙げるのに5戦を要し、19年10月にケンジントンのメイドン(芝1400m)でようやく未勝利を脱したが、その後は重賞で堅実なパフォーマンスを披露。

 秋初戦となったローズヒルのG2ホバートヴィルS(芝1400m)で重賞初制覇を果たすと、続くG1ランドウィックギニーズ(芝1600m)が3着。

 そして、初めて古馬と戦ったのが3月21日にローズヒルで行われたG1ジョージライダーS(芝1500m)で、ここも4着と健闘している。

 ドンカスターマイル通算7勝の実績を誇るグレン・ボスが、今年の騎乗馬にこの馬を選択したことも、人気を後押ししている。

 以下、春のG1エプソムH(芝1600m)勝ち馬コールディング(セン4、父オーシャンパーク)、3月14日のG2アヤックスS(芝1500m)で2度目の重賞制覇を果たしたイメイジング(牡5、父オアシスドリーム)という、クリス・ウォーラー厩舎の2頭が4〜5番手評価となっている。

 なお、出走すれば人気が予想された、3月7日のG1オーストラリアンC(芝2000m)勝ち馬フィフティスターズ(牡5、父シーザスターズ)は、レース当該週に入って歩様に乱れが出たため、ここは回避することになった。次週(4月11日)のG1クイーンエリザベスSに間に合うかどうかは、今後の経過観察次第となっている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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