2020年05月31日(日) 18:01
牝馬で唯一、安田記念を連覇しているウオッカ(撮影:下野雄規)
アーモンドアイの参戦により、さらに注目度が増した安田記念。現役最強馬との呼び声も高い牝馬に対し、昨年の春秋マイル王・インディチャンプやGI・香港マイルを制したアドマイヤマーズなど強豪牡馬たちが揃いました。
歴史を振り返ると、牝馬の安田記念制覇は1991年ダイイチルビー、94年ノースフライト、2008年と09年連覇のウオッカの3頭のみ(1984年グレード制導入以降)。牝馬にとって安田記念制覇の壁は高くそびえます。その中においてウオッカの連覇は「すごい」のひと言。ウオッカはなぜ安田記念を選択し、連覇を達成できたのでしょうか。名牝の連覇について角居勝彦調教師に伺いました。
(取材・構成=大恵陽子)
※このインタビューは、5/26に電話取材で行いました。
――今回は「牝馬で安田記念を連覇」という側面からウオッカについてお伺いしたいと思います。初めて安田記念に参戦したのは4歳だった2008年。ドバイからの帰国初戦となったヴィクトリアマイルで2着(勝ち馬エイジアンウインズ)となった後でしたが、安田記念参戦はどういった経緯だったのでしょうか?
角居勝彦調教師(以下、角居師) ドバイからヴィクトリアマイルへというローテーションは元々考えていました。その頃、ウオッカはちょっと掛かるようになっていて、距離を延長するよりはマイルに、という考えで安田記念を選んだのだったと思います。前年に日本ダービーを勝って以降、ずっと勝てていなかったので、「何か1つ勝ちたい」という思いもあり、マイルの方が適性が高そうだからと安田記念に行きました。
――同じ舞台のヴィクトリアマイルは惜しいレースでしたが、安田記念では残り200m手前で先頭に立っての押し切り勝ちでした。もう12年前のこととなりますが、当時のお気持ちは覚えていらっしゃいますか?
角居師 勝てない競馬をずっと繰り返していたので、ホッとしたっていうのはあったと思います。
後続を寄せ付けない圧巻の強さを見せた(撮影:下野雄規)
――日本ダービーでは牝馬として64年ぶりの制覇という偉業を成し遂げただけに、その後の勝てない期間は悔しさなどいろんな思いがあったのでしょうか。
角居師 うーん…、強いっていうのは分かっているのに、勝てないというのはちょっと……。
――その後は天皇賞・秋でダイワスカーレットとの壮絶な追い比べを制し、翌年はドバイで2戦→ヴィクトリアマイル→安田記念というローテーションでした。
角居師 1年前と同じローテーションということで、早いうちから決まっていました。
――ヴィクトリアマイルでは前年の雪辱を果たし、7馬身差の圧勝でした。
角居師 前の年の安田記念の勝ち方からしたら、やれるんじゃないかなって感じでいました。ドバイへの輸送の負担も、2年目で慣れてきたなと感じていました。
――続く安田記念では4コーナーの辺りから前が詰まり、ようやく少し追い出せたのが残り200m付近。絶体絶命かと思われましたが、坂を上りきったところで差しての勝利は衝撃でした。
角居師 勝負所で前が開かないので、ダメなのかなと思いましたが、・・・
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