2020年06月03日(水) 18:02 95
▲海外武者修行、GI騎乗…どんどん経験を重ねていく坂井瑠星騎手(撮影:高橋正和)
前回のコラムでダービーへの熱意を語った坂井瑠星騎手。注目の初騎乗、結果は9番人気4着と大健闘! 特別な大舞台で、サトノインプレッサの能力を引き出す立派な騎乗を魅せてくれました。今回は、「とにかく巧くなりたい」と日々努力を積む瑠星騎手の競馬観に迫ります。佑介騎手からの思わぬ期待の言葉に、瑠星騎手もビックリ?
そして…この対談直前に舞い込んできた中谷元騎手の電撃引退。矢作厩舎で約6年間一緒に過ごした瑠星騎手にとって“なんでも話せる先輩”だという中谷元騎手への想いも語っていただきました。
(構成=不破由妃子)
※この対談は佑介騎手と坂井騎手ふたりだけで、トレセン内で出来るだけ短時間で行いました。
佑介 オーストラリアに行ったのって2年目だっけ?
瑠星 そうです。2年目の秋から1年くらい行かせていただいて。
佑介 帰国後の自分について、いろいろ思い描いていたところがあると思うけど、実際の結果やポジションについてはどう感じてる?
瑠星 思い描いていた姿とは、まったくかけ離れた姿です…。正直、日本に帰ってきたらもっと勝てるかと思っていました。まぁ甘かったんですけどね。1月と5月に一時帰国して、ピンポイントで乗せてもらったんですけど、そのときにポンポンと勝てたので…(開催計6日で9勝)。それでちょっと甘く考えてしまったところはありますね。
佑介 なるほど。現実は違ったわけやな。
瑠星 はい。大して技術なんかないのに、勝たせてもらっていただけなんですよね。でも、技術もないまま順調に勝ち過ぎてしまうよりはよかったかなって、今は思っています。もし技術もないまま勝ってしまっていたら、気付くべきことにも気付けなかったと思うので。
佑介 馬乗りに対して、あるいは競馬に対してのモチベーションでは、今は何が一番大きなウェイトを占めてる?
瑠星 常に勝ちたいっていうのが一番ですけど、去年初めて重賞を勝たせてもらったことで変わってきたところはありますね。以来、重賞でも依頼をいただけるようになって、GIにも乗せていただいて。今はそこが大きなモチベーションです。ただ、そもそも僕は、モチベーションが下がったことがなくて。とにかく巧くなりたいし、いつかはトップジョッキーになりたい。その一心ですね。
佑介 やっぱり最大のモチベーションは大きいレースだよなぁ。重賞はこれまで4つだっけ?
瑠星 はい。ノーワン(2019年・フィリーズレビュー)とドレッドノータス(2019年・京都大賞典)とサトノガーネット(2019年・中日新聞杯)、あとジャスティン(2020年・東京スプリント)で勝たせてもらいました。
佑介 勝つときって大概上手くいくもんやけど、瑠星の場合はそれだけじゃなくて、「上手く乗ったな」っていうイメージがすごくある。勝ち方が鮮やかだし、カッコいいし。乗り方もカッコいいから目立つんだよね。
▲佑介「瑠星は勝ち方が鮮やかでカッコいい!」(撮影:高橋正和)
瑠星 勝つときはみんなカッコいいと思うんですけど(笑)。
佑介 まぁそうなんやけど、瑠星の勝ち方には・・・
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。