【安田記念】圧巻の存在感みせる女傑が新たな記録を打ち立てるか

2020年06月06日(土) 12:00

強豪揃いで後年語られる安田記念になる

 月が替わると大抵なにがしかのイメージが湧いてくるものだが、6月はいつも特色に欠けるような気がしてきた。初夏の代名詞、5月のゴールデンウィークは別格にしても、他にくらべ6月は影が薄い。それでも見回すといつも通りではある。鉄せん、花水木、藤、紫陽花、花菖蒲、ヤマボウシ、のうぜんかずら等々、きちんと季節は動いているのだ。

 ダービーが終った競馬も、これに近い。春のクラシックが済んで、ちょっとひと休みという気分が否めない。だが、もう2歳戦がスタートする。近年の傾向から、早い時期での新馬勝ちの中から活躍馬が出ることになっているので、ボーッとしてはいられない。

 そんなことをつらつら思っている時に迎える安田記念。世界へ打って出るのが当り前となった日本馬にとり、コロナウイルスさわぎでレースが中止となり選択肢が狭まっているこの春、ドバイに遠征しながら戻ってきた有力馬たちの出番が国内に移り、かなりの好カードが続いている。安田記念にGI馬が10頭も顔を揃えるというかつて見たこともない盛況。中でも国内外のGI8勝目を狙うアーモンドアイの出走する意味は大きい。これだけの強豪を相手に、ここは絶好の力試しの一戦と挑むものもいて、その果敢な戦いもレースを面白くしてくれるからだ。

 高速馬場の東京は、とにかくスピードがないとダメ。ヴィクトリアマイルのアーモンドアイの勝ちタイムが1分30秒6。ゆるみない流れを乗り切らないと勝てない。「いつも勝ち方が想像の上を行く」と言う女傑は、全くダメージを感じさせない走りで、初めての中二週でも全く問題ないだろう。父も母も古馬になって走っていて、新記録達成の瞬間を見届けたい。

 どれよりも大きいモクレン科の泰山木、その白い大きな花から香る匂いにも似て、その存在はとにかく圧巻だ。

 数多いGI馬の中で、あまりにも長期間勝てていないものは除外して、スピードの持続するタイプのインディチャンプがソツなく走れるだろう。アドマイヤマーズは、落ち着いて逞しくなっているが、長く脚を使えたとしても半年ぶりでは少し苦しい。高松宮記念2着の桜花賞馬グランアレグリアは、体調を整えるためヴィクトリアマイルを見合せ、万全で出てくる。前走体が増えたのがいい。

 あとは、ダノンプレミアム、ノームコアが入着候補だが、面白いのはGI未勝利のダノンキングリーを相手馬の上位に。東京は、昨秋毎日王冠を勝っていて悪くない条件。ダービー2着の実力は、アーモンドアイにかなり肉迫できると思っている。

 後年語られる安田記念になりそうだ。泰山木の花言葉「前途洋々」「威厳」をつけ加えておきたい。勝者にふさわしいではないか。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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