2020年07月11日(土) 12:00
なにが起こるか分からない、だから面白いのが競馬と言っても、あっちでもこっちでも逃げ馬が目立ってくると、どうしたものかと考えなくてはならない。植えた覚えもないのに、庭の一角を独占しているヤブミョウガを見ているのに似ている。楕円形の緑の葉を広げ、茎の先端からまっすぐ上に伸びた白いつぶ状の花がそこかしこに咲き、その勢いったらない。その場所が、よっぽど適しているのだろう。
逃げ、先行馬にとっても、有利なコース形態や馬場状態があるようだ。展開や各馬の能力に関係なくだ。極端に言えば、逃げ、先行馬のための競馬ということ。絶好の良馬場なら、ポジションを取りに行き、テンが激しくなっても、いずれも楽に走れていて、行ったもの同士の決着になる。この場合、上がりも速くなって後続は届かない。
また、馬場状態が悪くなり上がりの時計がかかっても、逃げ、先行馬同様に差し、追い込みもバテているから、やはり前に行った同志の競馬になっている。特に、福島や函館ではこの傾向が強い。距離による違い、つまりスタート地点による違いがあるが、基本的には同じと見ていい。福島の七夕賞は2000米、最初のコーナーまで少しあっても、小回りで最後の直線が短いから、いい位置につけたいと先を急ぐ。道中、ゆっくり構えるわけにはいかない。
それに、前半の1000米が平均して速く、上がり3ハロンがほとんど35秒台後半から36秒台で決着するので、最後は我慢くらべになっている。雨の降りやすい時期だからなおさらだ。昨年、3番人気で勝ったミッキースワローは、道悪の中いつもより前目のポジションにつけ、4角4番手から伸びていた。一昨年は11番人気のメドウラークだったが、前日までの雨で時計のかかる馬場が味方し、3角をまわり内目のポジションを取れたのが勝因だった。いずれも前半1000米は、58秒0、58秒2と速く、上がり3ハロンが37秒5、38秒6と遅く、いかにタフなレースであったかが分かる。
今年の出走馬の中では、昨年の2着馬クレッシェンドラヴが目立っている。15番枠から追い上げていき、ゴール前ではわずかに及ばなかったが、3着以下は大きくはなしていた。福島記念をその後勝ち、福島は全4戦で全て連対を果たしている。ステイゴールド産駒、さらなる可能性を感じる。これに良血ジナンボーを加え、あとは6頭も出ている4歳勢から。コース実績の光るヴァンケドミンゴ、マイネルサーパス、スタミナ勝負向きのヒンドゥタイムズ、オセアグレイトを加え、狙い方を考えてみたい。夢は、荒唐無稽であっても構わないではないか。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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