2020年07月25日(土) 12:00
いち速くとび出した馬がコースの外をめざし、遅れてスピードに乗った馬が前に出られた馬の内を狙って伸びてくるので、馬群を正面から見ていると、そこここで馬が交差して見える、それがアイビスサマーダッシュだ。
まるで朝顔のつるが、あっという間にスルスルと伸び、そのつるとつるとがからみ合いながらひろがっていくようなものだ。その花は濃い江戸紫、紅色、白など風情があり、雨を吸ってひとときの晴れ間に咲かせる様は、盛夏の訪れが近いことを告げている。アイビスサマーダッシュとは、そんな景色を見ているようなものだ。
スタートして一直線、まずスピードに乗って先行できる馬、そして牝馬、外枠であること、ダートを得意とする血統などがポイントとなる要素と言われている。高速決着への期待をのせ、いっせいに飛び出すと、少しでも外目のコースへと動くもの、外枠にあって自分のコースを確保しようと先行態勢に入る。
ただただ真っ直ぐに見える1000米コースだが、実は若干のアップダウンがあり、それがハロンタイムにあらわれている。最初の1ハロンは上り、次の1ハロンが下り、3ハロン目に少し上りがあって次が少し下り、最後の5ハロン目が平坦なのだ。それでどうなっているかと言うと、スタートしてトップスピードに乗るまでには時間がかかる上にこのアップダウンがあるので、ハロンタイムは最初が12秒前後、次が10秒そこそことスピードが上がり、かなりの開きがある。そのまま10秒台があと2ハロン続き、最後の5ハロン目が11秒台後半と、どの馬も目一杯な状況がはっきりしている。
究極のスピード勝負になるので米国血統、ダート血統が強いのが分かる。それと、牡馬にくらべ牝馬の方がいちはやくトップスピードに入れるので有利というのも頷ける。ただ牝馬がいいと言っても、上位に入ったものはだいたいが別定54キロまでという点は留意しておきたい。牡馬より斤量には敏感だから。それと外ラチは他のレースでは走らないから、状態はいい。外枠に入ったもの有利だ。
これらを総合して、ライオンボスの連覇が濃厚だろう。ハナにこだわらず、レースに幅が出ているのは大きい。問題は、相手選びだ。12頭いる牝馬の中から、まずジョーカナチャンを。2度の骨折をのりこえた辛抱強さを買う。9戦全てがダートで、レコードが2回含まれる初芝のモンペルデュの快速も魅力。絶好の外枠に入ったのが大きい。より深いブリンカーをつけ集中して走れるクールティアラも、この外枠が有利に働く。あと一頭が、昨年2着に喰い下がったカッパツハッチを。太目を叩かれ調子を上げてきた。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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