2020年08月01日(土) 12:00
牝馬の時代、その重賞戦線はどれも活気がある。この春、高松宮記念でモズスーパーフレアが牡馬を下して勝ったのに続き、大阪杯でラッキーライラック、安田記念でグランアレグリア、宝塚記念でクロノジェネシスと牡馬を圧倒した牝馬陣には、別に昨年の年度代表馬アーモンドアイが控えていて、その層は厚い。夏の女王決定戦でこれに加われるものが出てくるかどうか、クイーンSの見所だ。
この様は、いろいろの花が咲き乱れる百花繚乱の中、炎天に咲く百日紅(さるすべり)を思わせる。ピンクや白、濃い紅紫などの花をもこもこと咲かせ、その期間は長い。それだけに、咲き疲れすることなくその存在を示すには、強さがもとめられる。
競走馬なら、スタミナが豊富であり、ハートも強くなければならない。言ってみれば晩成型。クラシックでは活躍できなかったが、無理せず、成長を促しながら充実するのを待ったことで、古馬になって勝ち始めるというようなものだ。
昨年4歳で勝ったミッキーチャームは、一年前に函館、札幌で3連勝して秋華賞でアーモンドアイの2着と頭角をあらわし、春に阪神牝馬Sで初めて重賞を勝つまでになっていた。北海道で4戦4勝、テンションが上がりやすいので、現地滞在で輸送のないのが良かったが、クイーンSを勝つひとつの典型が見える。
札幌の1800米は、とにかく前に行けるものが、まず有利で、力のいる洋芝なのでタフなレースになる。阪神の重賞での実績をひとつの目安にすることができる。その点、先行はできなくとも、昨年2着に伸びてきたスカーレットカラーは、この春、阪神牝馬Sでも長くいい脚を見せ2着に入っており、札幌ならタフなレースで可能性を秘めている。
先行力という点からは、初勝利が札幌というコントラチェックを。落ちつきが出てきて折り合えるようになったと、ルメール騎手も自信を深めている。ペースが速くなれば、かえって現状ならよさそうだ。フラワーC、ターコイズSと中山の重賞を2勝していて、右回りが圧倒的にいい馬だ。
晩成型でスタミナを伝える種牡馬と言えば、その一頭にルーラーシップがあげられる。その産駒フェアリーポルカは、とにかく体調優先で無理せず成長に合わせて走らせてきた一頭。このところ使う毎に本格化を迎え、春は中山と福島で牝馬Sを連勝するまでになった。しぶとさが加わり、これからもっと強くなれるだろう。奥手、晩成型といえば、ステイゴールド、クロフネの産駒になるので、カリビアンゴールド、リープフラウミルヒ、ビーチサンバまで検討の対象としておく。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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