2020年08月28日(金) 18:00
今年の夏競馬で好走しているアスタールビー(c)netkeiba.com
GI・スプリンターズSに向けて重要なステップとなるキーンランドカップ。このレースで重要視すべきは夏競馬の実績です。同年の夏に限らず、2年前、3年前の夏実績でも良く、ずっとそのように考えていました。
実際に第1回以降の勝ち馬 14頭のうち13頭は、(該当年キーンランドC以前に)6月か7月に勝ち鞍を持っていました。これに該当しなかった勝ち馬は、2018年1番人気1着のナックビーナスだけなのです。
6月か7月に勝ち鞍のある馬 → A 6月か7月に勝ち鞍のない馬 → B
A 156戦【13-12-10-121】勝率8% 複勝率22% 単回収171% 複回収71% B 60戦【1-2-4-53】勝率2% 複勝率13% 単回収 6% 複回収37% ※函館競馬場開催の2013年も含む
しかしA群はベタ買いで171%の単勝回収率を記録しているとはいえ、その大部分は2008年に単勝161.4倍でこのレースを制したタニノマティーニの功績。同馬を除くと一気に68%にまで下落してしまいます。
ならばもうひとつ、A群に北海道限定という要件を加えてみましょう。
6月か7月 函館or札幌に勝ち鞍のある馬 → C 6月か7月 函館or札幌に勝ち鞍のない馬 → D
C 102戦【11-8-8-75】勝率11% 複勝率26% 単回収245% 複回収78% D 54戦【2-4-2-46】勝率 4% 複勝率15% 単回収 35% 複回収56% ※函館競馬場開催の2013年も含む
2つをまとめると、下記のようになります。
6月か7月 函館or札幌に勝ち鞍のある馬 → C 6月か7月 函館or札幌に勝ち鞍のない馬 → D 6月か7月に勝ち鞍のない馬 → B
C 102戦【11-8-8-75】勝率11% 複勝率26% 単回収245% 複回収78% D 54戦【2-4-2-46】勝率 4% 複勝率15% 単回収 35% 複回収56% B 60戦【1-2-4-53】勝率2% 複勝率13% 単回収 6% 複回収37% これはつまり、洋芝適性。そういうことなのでしょう。北海道以外のJRA競馬場には主に“野芝”という品種が使われているのですが、函館競馬場と札幌競馬場は寒さに強い“洋芝”という品種が使われています。洋芝は保水性が高く、競馬においてはタイムが野芝より遅くなりやすいという特徴があると言われています。
正直な話、今まで洋芝適性というものはあまり気にしていなかったのですが、こういったデータを発見してしまうと、ちょっと考えさせられる部分はありますね。
とは言え、例年なら出走馬の半数近くがC群に分類されるところ、いつもの年ならここが予想のスタート地点となるに過ぎないという話なのですが、今年は特別登録のある21頭のうち、C群に分類される馬がアスタールビー、ダイアトニック、ルヴォルグとレッドアルマーダの4頭しか存在しません。B群に分類される馬が半数を超えそうな辺り、これはかなり楽しみな一戦になってきたと考えています。
ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んでキーンランドカップを解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
■プロフィール 岡村信将(おかむらのぶゆき) 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。
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