2020年09月05日(土) 12:00
草花が風と戯れる風情がいい季節になった。とくに萩は、風のないときでもかすかにゆれ、まるで風を誘っているように見える。
この夏が逝くときにある新潟記念、サマー2000シリーズの最終戦とは言っても、ここに登場する馬にはそれとは別な目線がある場合が多い。
このシリーズに組み込まれた2006年以降、優勝馬から6頭のシリーズチャンピオンが生まれているが、3連単10万円超はざら。この10年でそれを下回ったのがたった2度だけだから、とてもまともに考えてはいられない。
実績馬には厳しいハンデ戦であって、しかもコンディション調整のムズカシイ夏場をすごしていること、直線の長い外回りの2000米であることなど、どう適性を探るかもテーマになっている。
最近の勝ち馬を見ると、春にGIを戦って休養していたものが、まず目につく。
昨年のユーキャンスマイルは、ダイヤモンドSを勝って春の天皇賞は5着だった。左回り2戦2勝で新潟2200米の勝星があった。
その前の年の3歳で勝ったブラストワンピースは、3連勝でダービー5着が初黒星、それ以来3ヶ月ぶりの実戦だった。
4年前の優勝馬アデイインザライフは春2連勝してオープン入りし5ヶ月の休養でしっかり馬体調整していいた。
これらの馬はいずれも1、2番人気で期待に応えた例だが、伏兵さがしのテーマはなにかが問題で、それを見ていくと、前走の重賞組の巻き返しがはっきりしてくる。
昨年8番人気で3着したカデナは、巴賞3着、小倉記念2着で人気が下がっていた。
2年前2着のメートルダールは、左回りの中日新聞杯を勝っていたが、大阪杯10着で6番人気だった。
5年前1着のパッションダンスは小倉記念6着でこのときは6番人気、2着マイネルミラノは函館記念8着で9番人気だった。
その他この5年間で3着以内に入った伏兵の、ジナンボー、ショウナンバッハ、カフジプリンス、ロンギングダンサー、ファントムライトなどは、出世が遅れていた奥手の血統馬で、ステイゴールド、ハーツクライなどの父馬の血すじだった。
今年は、シリーズ組では小倉記念1着のアールスターが4着以上に入ればチャンピオンになれるが、今度ハンデ56キロがどうかだ。
このケースでは3年前のタツゴウゲキが3キロ増の55キロを克服、6番人気で勝ったことがあった。ペースが速くなればなんとかなると思っている。
3歳馬ワーケアは、ブラストワンピースと同じケースだが、53キロの軽ハンデは面白い。スピードの持久力は見もの。
サトノガーネット、ブラヴァスは、勝てばシリーズチャンピオンの目があるので、ファイトあるプレイが見られるだろう。
さて、どの馬が風を誘う萩になれるのか。ちなみに、万葉集に現れた植物の第一位は萩だそうだ。それは秋を代表するにふさわしい文字でもある。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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