2020年09月11日(金) 18:00
秋華賞トライアルとして2000年に創設された紫苑S2000mは、劣勢の関東馬のトライアルとあって本番とは無縁に近く、ここをステップに秋華賞で好走した馬は2013年までは3着馬が2頭いただけ。秋華賞はローズS(トライアル)との結びつきが強固だった。
だが、2014年にショウナンパンドラ(関西馬)が「紫苑S2着→秋華賞1着」を決めると流れが変化し、やがて紫苑Sは2016年からGIIIに昇格。すると、最近4年の本番で紫苑S組は「2勝、2着2回」の重要なトライアルに変化している。ただし、本番で連対した計5頭のうち、4頭は関西馬。秋華賞で関東馬の反撃が始まったわけというわけではない(関西馬20勝、関東馬4勝)。
4戦無敗の2冠馬デアリングタクトは秋華賞に直行の予定。阪神JFなど3勝のレシステンシアも順調ではないので、関西馬は次週のローズSでもいいと思えたが、今年は中京(左回り)の2000mを嫌ったのか、計4頭が遠征してきた。
権利取り(3着まで優先権)の伏兵もいるが、3勝馬ウインマイティー(父ゴールドシップ)、ミスニューヨーク(父キングズベスト)の全勝ち星は右回りであり、単なる叩き台ではないだろう。オークス少差3着ウインマイティーのこれまでは、使って良化型だけに過信は禁物でも、大きく評価下げはできない。ミスニューヨークも初の左回りを嫌って、本番と同じ右回りのここを狙ってきた。
関東馬には秋に変わりそうな馬が多い。軽い骨折明けだが、入念に仕上げてきたシーズンズギフト(父エピファネイア)の秋の変わり身に期待したい。同じエピファネイア産駒のデアリングタクトと同じくサンデーサイレンスの(4×3)。種牡馬エピファネイアの場合、サンデーサイレンスが登場するのはもうその3代前なので、活躍馬にはサンデーの(4×3)タイプが驚くほど多く、実際にエピファネイアの成功につながっている。
父エピファネイアは3歳秋、神戸新聞杯1着→菊花賞1着を決めている。たまたまかもしれないが、ジャパンCを含めた全6勝が秋シーズンだった。
前走のニュージーランドTは、外枠でやや出負け気味のスタート。前半1000m通過57秒6のハイペースを早めに動く厳しい展開になりながら、坂上では一旦先頭。勝った牡馬ルフトシュトローム(日曜の京成杯AHの人気馬)と半馬身差だった。2000m→1800mを連勝しているから、1600mより2000mのほうが合うだろう。
減った馬体を立て直してきたスカイグルーヴ(父エピファネイア。この馬もサンデーの4×3)、叩き良化型でも地力十分のウインマイティー本線に、穴馬には秋に巻き返したいマルターズディオサを加えておきたい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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