2006年の期待馬

2005年12月27日(火) 23:51

 今回が05年最後の週間サラブレッドレイシングポストとなります。今年も1年、当コラムを御愛読下さいまして、誠にありがとうございました。なにせ生まれついての大雑把な人間で、頭の中も机の上もまるで整理されないまま40有余年過ごして参りましたので、コラムの中でも細かな間違い、単純なる記憶ミスなど、多々ございましたかと思います。平に御容赦いただき、来年も引き続いての御愛顧をお願いする次第です。

 さて、年が明けますと、当netkeiba.comには「ライターからの年賀状」という特集が掲載される予定となっております。私もライターの片隅に名を連ねさせていただいておりまして、皆様へ年始のご挨拶を申し上げることになっておりますが、ここで趣向といたしまして各ライターが「06年に注目する馬」を披露することと相成っております。私ここで、明けて3歳となりますスティーヴィーワンダーボーイの名を挙げさせていただきました。御存知、05年のブリーダーズCジュヴェナイル優勝馬でございます。ところが賀状1枚のスペースで充分な御説明をするには私の筆の力が足りずに、いささか舌足らずに終わってしまった感がございます。そこで勝手ながらこの場をお借りいたしまして、私の06年の期待馬スティーヴィーワンダーボーイの補足説明をさせていただく次第です。

 この馬の能力につきましては、BCジュヴェナイルを御覧いただけますれば一目瞭然。重賞初制覇となった9月のデルマーフューチュリティの勝ち方も鮮やかでしたが、BCジュヴェナイルも着差以上に強い内容で、年明けに発表されますエクリプス賞2歳牡馬部門の授賞をほぼ確実にいたしました。

 ただしスティーヴィーワンダーボーイの魅力は、馬の強さだけにあるのではありません。この馬、マーヴ・グリフィン氏という、アメリカでは知らぬ者が居ない超有名人の持ち馬で、グリフィンさんの馬だからという事実「込み」で、この馬をイチ押しの期待馬とさせていただいた次第です。

 グリフィンさんという方、日本で言えば大橋巨泉さんか、みのもんたさんか、或いはふたりを足して2で「割らない」人、とでも言いましょうか。それぐらいの大物なのです。

 振り出しはシンガーで、“I've got a Lovely Bunch of Coconuts”という、300万枚も売れたメガヒットを世に送り出しました。その後、俳優業にも手を出して映画に出演するかたわら、テレビ業界にも進出。いよいよその名が不動のものになったのが、62年にNBCネットワークでスタートした、彼をホスト役に任命したトークショー「マーヴ・グリフィンショー」でした。これがなんと86年まで25年も続く超長寿番組となったのです。そういう意味では、アメリカの黒柳徹子さんとも言えるでしょうか。

 更にその後はプロデュース業にも手を染め、「Wheel of Fortune」、「Jeopardy!」という2つのゲーム番組がバカ当たりを取りました。そんなこんなでグリフィンさん、テレビ界のアカデミー賞と言われる「エミー賞」を、なんと15回も授賞しているのです。

 86年、彼は自らの制作プロダクションであるマーヴ・グリフィン・エンタープライゼスを、コロンビア・ピクチャーズ・テレビジョンに売却。このときの譲渡価格は推定で2億5千万ドル、日本円にしておよそ275億円と言われました。

 つまりは、名声もあって、富もあって、なおかつ芸能界を通じて得た人脈も時に華麗という、絵に描いたようなセレブが、今年80歳を迎えたマーヴ・グリフィンさんなのです。

 そんなわけで、スティーヴィーワンダーボーイの馬名の由来となった、あの大物シンガーとも旧知の間柄なのですよ、この人。つまり、私が「ライターからの年賀状」で、06年のケンタッキーダービー当日、こんな事が起きて欲しいなっていう願い、あながち夢物語ではないのですよ。

 ねっ!06年のスティーヴィーワンダーボーイって、楽しみでしょう!?

 と言うわけ、皆様、良いお年を。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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