2020年09月19日(土) 12:00
明確な主役が満を持して大記録達成を期すこの秋。デアリングタクト、コントレイルに付け入る隙はないものか、トライアルでしっかり見極めなければならない。ローズS、セントライト記念で期待に応えられそうな存在と認識できるものが見つかれば、この先の大一番が楽しくなるのだが。
彼岸にあわせて花の盛りを迎えるマンジュシャゲは、木もれ日の中で静かに音もなく燃えひろがっていく。そこここにいくつもの群落があるのに似て、前哨戦には、ここぞと名のりをあげるものたちが集まってくる。そこは、色々な事情を抱え、さまざまな背景にある馬たちが集う決戦場だ。最後の一冠を目指しどんな馬がいるのか、その顔ぶれをしっかり吟味し、秋華賞、菊花賞につなげたい。今週と来週はわれわれにとっても本番に向けてのトライアルだ。
まずは、春のクラシックを戦ったもの、そこで好走できたものをピックアップし、次に夏を越して明らかに成長したもの、そしてキャリアが浅く可能性を秘めているものに大別して有力馬をセレクトしたい。
ローズSは、今年は中京の2000m。オークス4着のリアアメリアが復活の足がかりをつかむ。2歳時、新馬、アルテミスSと連勝し、阪神JFでは1.8倍の人気だったが6着に終っていた。4ヶ月間のリフレッシュ効果が期待されるディープ産駒だ。これと同じ中内田厩舎のクラヴァシュドールも、テンションの高かった春から、大きく成長が感じられる。夏の小倉で勝って4戦2勝としたフアナは、切れを増し、新興勢力に入れたい。あとは、キズナの初年度産駒になる2頭を加えておく。オークスで骨折が判明して大敗に終ったアブレイズは、その後の休養でパワーアップし、体に厚みが加わった。もう一頭シャムロックヒルは、この夏に2勝してステップアップしている。しぶとい先行力がこのコースで生きてきそうだ。あとは、3月デビューで3戦2勝のデゼル。良血馬の決め手がどこまで進化しているか、しっかり見てみたい。
セントライト記念は、この5年でダービー出走組が7頭、連対を果たしている。今年は成績順に、ガロアクリーク、サトノフラッグ、ヴァルコスの3頭がこの組だが、それらはともかくも、ちょっと新顔に目を向けたい。
成長力ある血統の青葉賞3着馬フィリオアレグロ、7月の福島で勝って秋に期すバビット、ココロノトウダイ、リスペクトの中から、菊戦線に登場するものが出そうな気がしている。
無敗の3冠馬への道を歩むデアリングタクト、コントレイルの前途に立ちはだかる可能性のあるものがいるのか、しっかり見ていきたい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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