2020年10月21日(水) 18:01 68
▲「乗っていて面白い競馬だった」平安Sでの駆け引きを語る (撮影:桂伸也)
今年の宝塚記念を制し、グランプリジョッキーとなった北村友一騎手。もともと強いこだわりを持って騎乗してきた北村騎手ですが、「以前の美学に力強さが加わった」と、その変化には佑介騎手も注目しています。
それを象徴するような一戦となったのが今年の平安S。先に勝負を仕掛けたのは佑介騎手の方。それに対して北村騎手は、意外な対応を取ります。進化する北村騎手が繰り出した、驚きの技とは?
(取材・構成=不破由妃子)
──今年前半の苦戦はあったものの、北村さんはここ2年で間違いなくその存在感が増したひとり。飛躍の要因について、ご自分で思い当たることはありますか?
北村 僕が感じているのは、そこまでに築き上げてきた関係者との信頼関係が深まったことですね。信頼関係があるから継続して乗せてもらえたり、今年前半の苦しい時期にも依頼をいただけたのかなと思っています。
佑介 今年は、俺も今まで以上に(北村騎手を重用している)安田隆厩舎に乗せてもらうようになって、厩舎の人ともよく話すからわかるけど、年明けから春先にかけて勝てなかった時期も、厩舎と友一の関係性はブレなかった。一時の関係性であれば、勝てなくなると乗せてもらえなくなるのが普通だからね。だから、悪いときでも応援してくれる人がいるというのは、すごくいいことだと思う。
変化といえば、騎乗スタイルも変わったよね。以前は「人の目を気にしない」って言っていたけど、最近はしっかりアピールするようになったというか。友一はこだわりが強いから、「馬はそこまで追わなくても動く。だから、馬の動きを阻害しない、一番いいバランスで乗ってくる」ことに重きを置いていたでしょ? だからガシガシ追ってくるようなこともなかったけど、最近は変わってきたよね。
──以前、こだわりを貫くあまり、「勝つ気がない」「やる気がない」と見られてしまうケースがあるとおっしゃっていましたよね。変えてきたのは、やはりそのあたりを意識してのことですか?
北村 それはありますね。
佑介 以前の美学に力強さが加わった。追っているフォームも、すごく迫力があるもん。・・・
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。