【有馬記念】牝馬大攻勢の年 60年ぶりの快挙となるか?

2020年12月26日(土) 12:00

余力ある有力牡馬が一年を締めくくるのも絵になる

 行く年来る年、気ぜわしい日々の束の間に思い浮かべる、過ぎ去っていくこの一年とこれから迎える新しい年。その中、競馬は記録ずくめの一年で、そのクライマックスがジャパンカップだった。それほどアーモンドアイのラストランは見事だった。そして、初めての敗戦だったとは言え、期待に応えて健闘したコントレイルとデアリングタクトが、これからどんな蹄跡を残していくか新たな記録への挑戦というテーマが見えている。

 年を締めくくる有馬記念は、この一年の総決算というくくりもあるが、今年は、この本流に乗れる馬たちを見極める一戦だ。ファン投票で牝馬が上位を占め、牡牝混合GI9レースのうち8レースを勝った牝馬の勢いを表わしている。

 第1位クロノジェネシスは4歳馬。勝てば春秋グランプリ制覇、次代の現役最強馬への道を確定できる。ゲートでうるさかった秋の天皇賞で3着。アーモンドアイに0秒1差まで迫った脚は光っていたし、父が凱旋門賞馬のバゴ、母の父にクロフネが入っていて、タフな中山の舞台は合っている。宝塚記念で6馬身差と突き放したシーンはインパクトがあった。

 第2位ラッキーライラックは、ここがラストラン。大阪杯にエリザベス女王杯連覇が加わりGIは現在4勝。昨年のリスグラシューに続き引退レースを飾れるかどうか。小脚を使って反応できる馬で、父が3冠馬オルフェーヴル。現役時、2度の凱旋門賞2着、ラストランの有馬記念で8馬身も離して勝ったシーンは、並ではなかった。とにかく、バックボーンはしっかりしている。牝馬が勝てば、2年連続となり、ガーネツト、スターロツチと続いて以来の60年ぶりの快挙となる。

 こうした牝馬大攻勢の年、唯一牡馬で気を吐いた古馬は、5歳馬フィエールマンだった。春の天皇賞馬で、秋の天皇賞でアーモンドアイにゴール前迫った末脚は、3Fの上がりが32秒7。年齢を重ね成長した姿を見せていた。この一年は、わずか天皇賞の2戦のみ、余力がある。昨年は凱旋門賞12着後の遠征明けの一戦で4着だったが、今年は状況がちがう。加えてこの馬の勝利には、この一年特に目についたルメール騎手の年間GI9勝がかかっている。大舞台でワンサイドの活躍をした彼がこの一年を締めくくるというのも絵になる。

 よく世代交代がテーマになる有馬記念だが、3歳がこの10年で5勝もしている。穴馬ならこのケースで、骨折明けながらアルゼンチン共和国杯を勝ったオーソリティを。大外枠から出て3番手で折り合い、ラスト1Fで勝負を決めていた。父オルフェーヴルに母父シンボリクリスエス。いかにもタフな血を継いでいる。春の青葉賞でダービーを上回る時計で勝っていた。新しい年にふさわしい新星だが、果たして。いずれにせよ、この結果は次の一年につながっていく。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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