2021年02月04日(木) 18:00
シルクロードSを制したシヴァージ(C)netkeiba.com
今年は中京開催となったシルクロードSは、シヴァージが大外一気で快勝! 2019年の暮れにダートから芝へ転向。念願の重賞タイトルを手にしました。福永祐一騎手とは久々のコンビ。にも関わらず、誤算のないパーフェクトな騎乗だったと哲三氏は振り返ります。対照的に、少し気になったという若手騎手の騎乗もピックアップ。自身も経験したことだからこそできるアドバイスと、さらに上を目指すためのエールを送ります。
(構成=赤見千尋)
シルクロードSは4番人気だったシヴァージが差し切り勝ち。初めての重賞勝利を収めました。騎乗した(福永)祐一君は、すべてにおいてパーフェクトだったのではないかと思います。
スタートをしっかり決めて、馬場のコンディションの見極めからのポジション取り、コース取り…すべて思い通りに運んだのではないでしょうか。騎手はあまり自分自身で「上手く乗った」とは言いにくいですが、自画自賛していいレースでしたし、もし僕が同じようなレースが出来たら大きな達成感を感じると思います。
今回は中団からのレース運びでこれまで以上にポジションを前に置く形になりました。もしゲートが決まらなかったら、馬場の内側をすくっていってという選択肢も考えていたのではないかと想像しますが、ゲートを決めて最初のポジション取りも上手くいった。そうなるとそこにはお釣りがあるわけです。お釣りがあるのに、お釣りをなくすような形、例えば内に入っていくジョッキーもいますよね。もちろん内に入ることが悪いわけではなくて、今回の馬場状態とシヴァージの特性を考慮すれば、外から差してくる馬だから外でいいという選択肢。その上前半でお釣りがあるわけですから、そのお釣りをなくすようなことはしない。僕がよく言う「無駄のない騎乗」です。すでに重賞を勝っている馬のようなイメージで、王道の競馬、まさに横綱相撲でしたね。
ハマったと思われるかもしれませんが、祐一君が上手くはめ込んだ。いろんな物差しがしっかり合って、ほぼ誤差がない騎乗でした。
これまで(藤岡)佑介が一定の競馬をしてきて、やりたいようなレースはまだ早いと差しに決めて乗っていたことが活きてきたなと。これは僕の想像ですが、もしも佑介が乗っていたとしても、今回のような形を目指して騎乗したのではないかと思います。でもその目指すものが、祐一君はスペシャルだった。ただ外から差してきたわけではなくて、かなり質の高いレースをしたと思います。
馬場の見極めもそうですが、やっぱり最初のスピードの乗せ方ですよね。見ていてとても面白かったです。そんないいレースをしているなかで、気になった若手がいました。これは苦言というわけではないですが、僕自身も経験したことなので少し掘り下げます。
現在京都競馬場が改修工事に入っていて、中京の開催が例年より長いわけですから、馬場も例年以上に荒れてきます。そんな状況で、コーナーで急に外に出そうとしたり、ポジションを変えようとしたり、突っ込んでいったり。特に馬場が荒れている時や、タフで力の要る馬場状況の時は、馬にとって負担ですし、どうしていいかわからず集中力が切れる原因にもなります。
馬場が荒れている、タフで力の要る状況の時は、馬の集中力が切れる原因に(C)netkeiba.com
僕自身もデビュー何年目かにそういう形で落馬して馬を骨折させてしまった経験があり、とても反省しました。今勢いがある団野(大成)君も昨年福島で落馬し、そういうことをしなくなりました。
馬場状態が悪くなればなるほど、・・・
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佐藤哲三
1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。
プロフィール
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