2021年03月04日(木) 18:00
このほど2021年にデビューすることが決まった8人の新人騎手たちが発表された。
顔ぶれを改めて見て行くと、何と8人中4人が、かつてジョッキーベイビーズに出場経験を持っていることが分かり、懐かしい気持ちが湧いてきた。
角田大和君は2014年の第6回大会にてハショウボーイに騎乗し、33秒1のタイムで優勝したのでよく覚えている。参考までに記すと、この時の5着は佐藤翔馬君(関東地区代表)、6着は小林勝太君(長野地区代表)で、ともに現在JRA競馬学校騎手課程に在学中だ。また8着だった宮内勇樹君(北海道地区代表)は、今春より地方競馬教養センターの騎手課程に入学が決まっている。
角田大和君はこの年中1で、水口乗馬倶楽部に所属し、関西地区代表として出場したのであった。この年は2着馬(伴凌次君、東海地区代表)、3着馬(吉永彩乃さん、九州地区代表)までクビ、1馬身という僅差の勝負で、ひじょうに盛り上がった記憶が残っている。
大接戦のゴール前に大盛り上がり
松本大輝君は、その前年、2013年の第5回大会に出場し、エンベツクィーンに騎乗して2着であった。この時、松本君は小5ながら、すでに手足の長く小顔のすらりとした体型で、騎乗フォームがひじょうに柔軟なことが強く印象に残っている。負けず嫌いの性格と聞いたが、表彰式の時にも、敢闘賞を受賞しながらやや表情が硬く、負けた悔しさの方が勝っているような表情でインタビューに答えていたのを覚えている。
因みにこの年の優勝はユキノヒビキに騎乗した斎藤新君。4着が菅原明良君(いずれも関東地区代表)で、この2人はその後揃って競馬学校騎手課程に入学し、2019年にデビューしている。ともにプロとして活躍中で、斎藤新君は最多勝利新人騎手賞をすでに受賞しており、菅原明良君も、今年待望の重賞制覇(2月7日、東京新聞杯、カラテ)を果たしている。
2015年の第7回大会に出場したのが、横山琉人君と、永野猛蔵君の2人である。この年の優勝は、栗姫に騎乗した北海道地区の大池崚馬君。6着がドリームスターに騎乗した横山琉人君(関東地区代表)で、8着がゴットに騎乗した永野猛蔵君(東北地区代表)であった。ともに中1での出場で、古い写真を見返すと、2人仲良く写るショットが何枚も出てきた。
ジョッキーベイビーズはポニーによる直線400メートル芝コースで争われるが、毎年、着差が大きくなりがちで、先頭の馬と最後尾とでは信じられないくらいの大差がついてしまう。
だが、それも無理のないことで、出場資格は小4から中1までと、チャンスが4年間しかないが、この間の子供の成長は著しく、斤量差が甚だしい。さらに、出走するポニーの方もまた、もともと競走用として調教されているわけではないので、能力差があることは否定できない。さらに人馬どちらも、当日の特別なムードに飲まれてしまうという精神的な部分もレースに影響してくる。
しかし、それでも、全国各地で乗馬にいそしむ少年少女たちにとって、東京競馬場の直線400メートル芝コースで騎乗できるのは大きな目標であり、その中からこうして、新たに新人騎手としてデビューする日を迎えるのである。
今年デビューする8人のうち2人は藤田菜七子騎手以来の女性騎手だという。デビュー時は、どうかするとそちらの方により大きな注目が集まってしまうかもしれないが、私としては、これらジョッキーベイビーズ組の方がより気になってくる。
さて、ここまで書いて、4騎手を「君」づけで表記したが、許されたし。それぞれの顔写真を改めて見ると、18歳〜20歳になっており、もうみんな大人の顔になっている。もはや君などとは呼んではならないと思い直した。
ともあれ、小沢大仁さん、西谷凜さん、永島まなみさん、古川奈穂さんともども、8人の新人にエールを送りたいと思う。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。
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