英国ダービー戦線に超新星浮上

2006年01月31日(火) 23:50

 先週、先々週と、英国3歳クラシック戦線の展望を行ったが、1月末になって英国ダービーのアンティポスト戦線に大きな変動があったのでお伝えしたい。2歳時未出走ながら、各社ブックメーカーのオッズでいきなり2番人気という馬が出現したのである。

 ウィリアムヒルが8倍、コーラルが11倍、ラドブロークスが13倍で、いずれも大本命のホレイショネルソンに次ぐ存在に掲げたのは、マイケル・スタウトが管理するサドラーズウェルズ産駒のグリークウェルである。

 ヨーロッパを代表するチャンピオンサイヤーである父は、01年のガリレオ、02年のハイチャパラルと、これまで英国ダービー2勝。全姉に、BCフィリー&メアターフ、ヨークシャーオークス2年連続制覇など、G1・4勝の名牝イズリングトン。全兄に、G1バイエリッシュヅヒトンネンの勝ち馬で、愛チャンピオンSをはじめG1で2着5回という活躍馬グリークダンス。更に母ヘレニックが、ヨークシャーオークス勝ち馬で、牡馬に混じってセントレジャー2着の実績を残したという、超のつく良血の持ち主である(ちなみに、先週日曜日に東京で行われた立川特別の勝ち馬イブロンは、ヘレニックの孫にあたる馬)。

 前述したように、グリークウェルは2歳時未出走だ。実は昨年10月、デビューまであと一歩のところまで出走態勢が整ったのだが、心肺機能に関する最終的な獣医検査の結果が100%良好とはいかず、結局デビューを見送ることになった経緯がある。管理するマイケル・スタウトは、81年のシャーガー、86年のシャラスターニ、03年のクリスキン、04年のノースライトと、英国ダービー4勝。最もクラシックに強いトレーナーとして名を馳せているが、一方で、05年の2歳世代の動きは鈍く、目立った成績を残したのはG2のロイヤルロッジSで4着となったグランドロッジ産駒のシティオヴトロイ程度。各社2000ギニーで21倍から26倍程度に推されているこの馬が、スタウト厩舎における唯一のクラシック候補ということは絶対にありえず、必ずや隠し玉がいるはずと、各社とも鵜の目鷹の目の秘密兵器探しを行っていたのだが、遂に白羽の矢が立ったのがグリークウェルというわけだ。

 3歳デビューでも、決して間に合わないわけではない英国ダービー。グリークウェルが果たしていつどこでファンの前に姿を現し、そのベールを脱ぐか、大いに注目されるところである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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