2021年03月15日(月) 18:01 76
▲今回登場するのは角田大和騎手 (撮影:泉谷楓真騎手、一緒にいることが多いそうです!)
今年の新人騎手を、履歴書風のインタビューでご紹介する「わたしの履歴書」。3月6日にデビューした8名は初勝利を挙げた騎手もいれば、あと一歩の騎手たちも。ある調教師は「初勝利は焦らなくてもいい」と話します。新人騎手のみなさんが経験を積みながら着実にステップアップしていくことを願います。
さて、第3回はデビュー週に同期の中で最も多く騎乗した角田大和騎手。父はダービージョッキーの角田晃一調教師です。その父が騎乗し、日本ダービーを制覇したジャングルポケットが、デビュー直前にこの世を去りました。「僕がお腹の中にいた時にダービーを勝って、騎手を目指すきっかけになった馬」と、角田騎手にとってもかけがえのない存在。
しかし、意外なことに昔は「ジャングルポケット=お笑い芸人」と思っていたくらいで、馬に乗るきっかけは、ある元騎手を父にもつ同級生からのお誘いだったとか。
(取材・構成:大恵陽子)
※このインタビューは電話取材で実施しました
母がいつも競馬を見ていたので、「馬に乗っているのかな」くらいには思っていましたが、小学校の宿題で親の職業を調べた時に、初めて「そんな仕事なんだ!」って分かりました。
当時、競馬についてはジャングルポケットと、ジョッキーは父しか知らないくらいでしたが、小学4年生の時、赤木高太郎元騎手を父にもつ同級生が、乗馬クラブのキャンプに誘ってくれたんです。乗馬クラブに泊まって、馬房掃除をしたり馬に乗って琵琶湖に行って遊ぶという内容でした。初めて馬に乗ったんですが面白くて、「乗馬をやる!」とすぐに言いました。
5年生からは栗東の乗馬苑のスポーツ少年団に入って、中学生の時にジョッキーベイビーズに初めて出させてもらい、馬にも恵まれて優勝することができました。
▲ジョッキーベイビーズ優勝経験を持つ角田騎手! (C)netkeiba.com
中学生の時には「ジョッキーになりたい」とずっと思っていて、競馬学校ジュニアチームに入っていました。同級生にはジュニアチームに受かっている子がいなくて、1歳上の岩田望来騎手と団野大成騎手と一緒に乗馬をしたり遊んでいました。
騎手を目指すきっかけとなったジャングルポケットが、騎手免許をもらってすぐに亡くなってしまって残念ですし、グッとくるものがあります。
(※競馬学校ジュニアチーム:栗東・美浦トレセンの乗馬苑で週5日、ジョッキーを目指す中学生が乗馬などに励む早期人材養成活動の一環)
▲2001年のダービー覇者ジャングルポケット (撮影:下野雄規)
特技はバスケットボールです。特技って言っていいレベルか分からないですけど、好きで一人でやります。フリースローは入る時は入るんですけど、調子が良くなくて入らない時はイライラします(笑)。
厩舎スタッフの方はみんな優しいです。元ジョッキーが3人いて、現役の時のことを教えてくれたり、「準備はこうした方がいい」とか、実習中に「あの厩舎に乗せてくれるようにお願いしておいたから」とか、すごく優しい人ばかりです。厩舎の方が「他厩舎に乗りに行って、顔を売ってこい」と言ってくださり、実習中はむしろ他厩舎に多く乗せてもらいました。
▲▼自厩舎のみならず様々な厩舎で経験を積んできた (撮影:山中博喜)
また、松永幹夫厩舎は「第二の家」のような存在で、たくさんの調教に乗せていただいていますし、所属騎手のように接してくださいます。
でも、そう言われないくらい、逆に「角田大和の父親」と言われるくらいの存在になれたらなって思います。そのためには結果を出して頑張りたいです。
厩舎の方にも恵まれて、実習の時から自由にやらせてもらったことでたくさんの厩舎に乗せていただけました。所属厩舎や親だけじゃなく、いろんな調教師や厩舎スタッフの方にすごくお世話になったので、見守ってくれた方々全員へ感謝の気持ちを結果でお返しできればと思います。
【師匠からの推薦文】
危険な職業というのを本人も分かって、「なりたい」と言ったと思います。ジョッキーになってからが本当のスタートで、自分で頑張っていかないといけません。たくさん失敗もするでしょうが、失敗することを恐れず、自分らしさを発揮してほしいです。
オーナーや牧場、スタッフ、みんなの期待を背負って、結果が求められる世界です。最初はすぐにレースが終わってしまう感覚だと思いますが、しっかりそこも意識できるジョッキーになってほしいです。
▲父であり師匠である角田晃一調教師 (C)netkeiba.com
netkeibaライター
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