2006年02月21日(火) 23:50 0
昨年も、BCジュヴェナイルを制したスティーヴィーワンダーボーイ、英国に渡ってG1チャンピオンSを制したデイヴィッドジュニアなど、世界各国で活躍馬を輩出した「ファシグティプトン・コールダー2歳トレーニングセール」の開催が、2月28日(火曜日)に迫った。19日にセールの舞台となるフロリダ州コールダー競馬場で行われた注目の1回目の公開調教の模様を中心に、セールのプレビューをお届けしたい。
1ハロンの最速時計9秒8を叩き出したのが、上場番号153番の父フォレストリーの牡馬。ストームキャット系のフォレストリーは、昨年もG1ハリウッドスターレット勝ち馬ディプロマットレディ、G1カーターH勝ち馬フォレストデンジャーらを出し、サード・クロップ・サイヤーとしてはヴィクトリーギャロップに次ぐ第2位の座をしめたトップスタリオンだ。上場番号153番の牡馬は、祖母ナンナールが重賞4勝、G1ゴーフォーワンドSでも2着となっている活躍馬と、血統も悪くない。元来が、昨年7月のファシグティプトン・ケンタッキー・イヤリングで42万5000ドルというとんでもない高値でピンフックされている馬で、元値の思いっきり高い馬が最速時計をマークしたのだから、これで自他ともに認める最高価格馬候補になったと言えるだろう。
2Fの最速時計21秒2をマークした馬は2頭いる。1頭は上場番号233番の父エルコリドールの牡馬だ。現役時代はG1シガーマイル等を制している父にとっては2年目の産駒。初年度産駒からG1フリゼットS勝ち馬アデューらが出て、フレッシュマンサイヤー・ランキング第2位(1位はティッズナウ)と、順調な種牡馬デビューを飾っている。上場番号233番の牡馬は牝系には大物がいないが、本馬のフィジカルな魅力でどこまで価格が上がるか。
21秒2を計時した2頭目は、上場番号274番の父ソングアンドアプレイヤーの牝馬。エリコリール同様、本馬の父ソングアンドアプレイヤーもこの世代が2年目の産駒。昨年のトレーニングセールで産駒が非常によく動き、バレッツ・マーチセールでは産駒の1頭が190万ドルの最高値で購買されるなど、おおいに話題を呼んだ種牡馬である。フレッシュマンサイヤー・ランキングは第4位と、まずまず期待に応えたと言ってよいだろう。上場番号274番の牝馬は牝系が貧弱で、購買側としては「2歳戦で華々しく活躍させて転売」という青写真を描きたくなるタイプである。
この他、牡馬では、上場番号14番の父ミスターグリーリーの牡馬、上場番号27番の父ゴーンウェストの牡馬、上場番号39番の父フサイチペガサスの牡馬、上場番号195番の父インディアンチャーリーの牡馬、上場番号256番の父ディストーテッドヒューモアの牡馬らの動きが目立った。
牝馬では上場番号58番の父グランドスラムの牝馬、上場番号189番の父ストームキャットの牝馬、上場番号196番の父フォレストワイルドキャットの牝馬、上場番号198番の父ヨハネスブルグの牝馬、上場番号255番の父ストームキャットの牝馬、上場番号292番の父ゴーンウェストの牝馬らに、バイヤーの注目が集まりそうだ。
この後、2月26日(日曜日)に2度めの公開調教があり、2月28日のセール当日を迎えることになっている。
合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。