【クイーンS】秋に向け大きな自信となった今回の勝利

2021年08月02日(月) 18:00 22

ディープインパクトと相性が良い牝系の強みが出てきた

重賞レース回顧

クイーンSで勝利したテルツェット(C)netkeiba.com

 午前中の小雨、メインレース前からの雨は、馬場状態に大きな影響を及ぼすほどではないとみえたが、騎手の考える位置取り(展開、ペース)には大きな影響があった。

 レース全体は決してハイペースではないが(前半1000m通過59秒9)、早めに動いた馬が多く、後半は「47秒9-36秒0-最後12秒4」となった。上がり800m47秒9も、最終「1ハロン12秒4」も、ハイペースではないのにこの7年間で最も遅く、勝ちタイムも非常にタフなレースだったことを示す1分47秒8となった。

 勝った3番人気のテルツェット(父ディープインパクト)は、良馬場では毎回のように後方から上がり33秒台を記録し、エンジン全開になるのが遅いように映ることが多かったが、それがこの流れ(展開)にピタリはまった。

 2着したマジックキャッスル(父ディープインパクト)も434キロの小柄な牝馬だが、テルツェットはもっと小柄で426キロ。小さな馬体重牝馬の1着、2着独占だった。タフな馬場のGI大阪杯を完勝したレイパパレも422キロだったが、雨でみんなが苦にするようなコンディションは、「小柄な馬の方が自身にかかる負担が小さいぶん、逆に有利になるケースがある」というレースは、たしかに再三再四ある。

 母ラッドルチェンドは、リアルスティール(父ディープインパクト)、ラヴズオンリーユー(父ディープインパクト)全兄妹などの半姉になる持ち込み馬。ディープインパクトときわめて相性の良い牝系であり、その強みがどんどん前面に出てきた。

 1600mのダービー卿CTも時計以上に強かったが、少しタイムのかかった1800mをこなしたのは大きな自信になる。これなら2000m級も大丈夫と思えるので、秋のビッグレースでも侮れない馬になった。

 1番人気のマジックキャッスルは、クビだけ差されたとはいえ、・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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