2021年11月23日(火) 18:00
特別なパートナーを労うC.ルメール騎手(C)netkeiba.com
マイルチャンピオンシップは今年もグランアレグリアが優勝! 1番人気に応え、有終の美を飾りました。
「1番大事なのはラストランで本当のグランアレグリアをみせること」ルメール騎手のこのコメント通り、グランアレグリアの状態を把握したレース運びに、まさに名コンビだったと哲三氏。強さで魅せた名牝のラストランを振り返ります。
(構成=赤見千尋)
マイルチャンピオンシップは1番人気に応えてグランアレグリアが差し切り勝ち。引退の花道を勝利で飾りました。今回もとても強いレースでしたが、調子が悪いわけではないけれど、一番のピークというわけではないように感じました。それでもしっかりと勝ち切って、まさに名コンビだなと。クリストフ(・ルメール騎手)は相変わらず巧いですし、グランアレグリアの状態を把握したレース運びだったと思います。
僕がいつも言う、前1馬身半、後ろ1馬身くらい、斜め横に馬を置いて、というレース中の走りやすい距離感が今回も保たれていました。この距離感を作れると、前に三角形の空間が出来て、後ろにも三角形の空間が出来て、他の馬に突っ込まれにくく、自分のリズムで走りやすい形になります。図に描けば一目瞭然なのですが、この距離感を阻止しに来る馬もいなかったですし、クリストフは普段通り、巧く乗っているなと。
ルメール騎手は大舞台でも変わらず「普段通り、巧く乗っているなと」(C)netkeiba.com
他の馬との距離感、自分の馬が走りやすいスペース作りというのが抜群に巧いんですよね。進みやすい方向をしっかり馬に示しているので、馬は走りやすいと思います。今回で言えば1600mずっと道が見えている感じです。その場その場の場当たり的な指示ではなく、全体的に繋がりがある。勝負所ではどうしても狭くなったり、間を縫って、という場面がありますが、クリストフの巧さは「狭くならないスペース作り」。そういうところが抜群に巧いので、馬が走りやすくて自然と加速して最後の伸び脚に繋がります。
クリストフの追い方は派手に追っているわけではないですが、リズムよく追って最後に伸びてくる。狭いところを見つけて突っ込んでいくのではなく、狭くならないよう誘導していく、それが出来るポジショニングをしているんですよね。もちろん必ずそういうレースをしているわけではありませんが、今回も距離感の作り方が巧いなと感じました。
最後の直線では、ちょっと重心が内にささりそうになる場面がありましたが、あの時も「修正しています!」というのをはっきりと見せずに直している。細かいところも丁寧に乗っていてさすがだなと感じる部分が多かったです。藤沢和雄先生がクリストフを指名するのも納得です。
ルメール騎手はこの勝利でJRA通算1500勝を達成した(C)netkeiba.com
2着だったシュネルマイスターの横山武史君は、2枠3番という枠順なりの中でしっかりレースが出来たと思いますし、3着ダノンザキッドの川田(将雅)君と4着インディチャンプの(福永)祐一君も、現状の中で出来るレースはしたと思います。上位のジョッキーたちは今回もさすがの騎乗を見せてくれました。
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佐藤哲三
1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。
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