2022年02月01日(火) 12:00
ジムでトレーニングに励む様子
今月のコラムは、日々のトレーニングについて。馬術の技術向上のため、これからも大好きな馬とともに生きていくため…諦めない心で挑み続けます。
同期の古川吉洋騎手が1万回騎乗を達成。おめでとうございます! そして、福永祐一騎手の復帰(※1/27、調教騎乗再開)、よかったです。福永騎手の馬上でのスマイルは、最高です。同期の活躍はうれしいです。
そういえば、みなさん見られましたか? 人気番組の「うまンchu」
武豊騎手とアンカツさんとの対談される様子は、笑いが止まりませんでした。柴田善臣騎手、小牧太騎手、横山典弘騎手、熊沢重文騎手、武豊騎手の5人が今何と言われているか知っていますか? 「5G(=5爺)」と言われていて、会長は柴田善臣騎手だそうです。「ウマ娘プリティーダービー」の裏話も盛り上がっていました。毎週話題があり週末のレースの参考にもなりますね。あ、番宣ではないのでご理解の程。
2021年度の年度代表馬が発表されましたね。選ばれた名馬や関係者の皆様、おめでとうございます。
1月13日にはアーモンドアイの初仔が誕生。9冠牝馬の血統をしっかりと受け継ぎ、額の星が「アイ」を強調するかのようです。産まれて数時間後には、よろよろしながらも必死で立つ姿をYouTubeで見ましたが、思わず「がんばれー」と声をかけ、立った瞬間に感動しました。脚が長い男の子ですね。デビューが待ち遠しいです。
また血統も凄い。父エピファネイア、母アーモンドアイ。母の父がロードカナロア、父の父シンボリクリスエス。そしてシーザリオ、フサイチパンドラ、スペシャルウィーク、サンデーサイレンスまで…血統が引き継がれる名馬は素晴らしいですね。
お母さんになったアーモンドアイ(撮影:下野雄規)
私が関屋記念を勝利したオースミコスモの父はフジキセキで、その父がサンデーサイレンスでした。馬体は小柄でしたが乗りやすく、柔らかく柔軟性のある馬でした。
血統をたどると面白いですね。白井(寿昭)元調教師は血統についてとっても詳しく教えてくれました。今でも自宅近くでお会いすると話してくれます。ちょっと勉強しようかと思いますね。
余談が多くなりましたが…、東京パラリンピックも終わり、2022年のパラ馬術・強化指定選手の選考規程が決まりました。「2022年世界馬術選手権大会(デンマーク)および、2024年パラリンピック(パリ)で、日本チームとして出場し、最高の競技力を発揮することを目的に、強化指定選手制度を設ける」と掲示されました。
私も今度こそは、という思いで挑みたいと思う。
馬には乗れるが、演技をする、経路を丁寧に乗る等、課題はまだまだたくさんあります。記憶障害、視野欠損、上肢下肢の麻痺、左半側空間無視など…山ほどある高次脳機能障害の障がいと格闘していくために、テイクフィジカルコンディショニングジムに週1で通っています。
トレーニングは、主に筋肉を鍛えるのではなく、トレーニングをしながら関節の動く範囲を大きくする、持久力をつける、体の柔軟性を高める等、乗馬に必要な体の動きづくりをしています。環境もとっても良く室内は広々としていて、最新の器具が置かれています。室内の壁に縦横のラインが引かれていて、バーを持ってその前に立つと、体のゆがみや傾いているのを自分の目で見て確かめることができるんです。初めて行った時は驚きました。
担当のトレーナーが、私の弱いところを即座に見つけてくれて、私専用のメニューでトレーニングしています。
一番大切な体幹がずれているため、自分の体の軸をしっかり鍛えないと馬に乗ってもグラグラし落馬してしまうので、体幹が崩れない様に自宅でもトレーニングをしています。と言っても30分程度しかやらないので、母からときどき喝が飛びます…。
自宅でのトレーニングの様子
乗馬は、馬がきれいに演技しライダーも馬上で堂々とした姿勢を見せることが大事なので、体幹の訓練は必須です。
さらに、下肢の麻痺で踵が硬く鐙を上手く踏み込めないので、柔軟性をつけるための運動や馬上でブレないための姿勢の矯正も。
左脚はつま先歩きで右足は踵歩きになるので、腱をしっかり伸ばして1、2、1、2…と数えながら足踏みをしています。道路を歩くときも時々するので出会った人に“変な人?”と思われているかも(笑)?
毎日丁寧にきれいに歩けるようになりたいと思い、ジョギングや白線の上を歩いたり視覚障がい者用の点字ブロックの上を歩いたりしますが、意外と難しいです。
みなさんは、大丈夫ですか? 人間はどうしても癖があるので背骨や頸椎、骨盤が歪んでくるそうです。先日も母が坐骨神経痛になり、座ったり姿勢を変えると痛みがあり大変そうです。普段から姿勢が良く、椅子に腰かけるときも背もたれにもたれずに真っ直ぐ座っていますが、家事などで中腰の姿勢が多くなると、骨盤のずれや頸椎のゆがみが出るそうです。
生活の中での姿勢は、とっても大事だとよくわかりました。
そして、集中して馬に乗ることも大切なので、目の前に人差し指を立てて指の動きを眼で追う訓練もしています。
バランスボールを膝で挟んで座りバランスをとったり、左手が麻痺のために筋肉が萎縮しているので伸ばす訓練なども。体幹と集中力、持久力、諦めない心で挑んでいきたいと思います。
ジムで、いろいろなトレーニングをこなします
馬は、とても賢く人の心を頼りにして動く。私は、馬の動きを信頼し、邪魔をしないで乗っていきたいと思います。
何のために、馬に乗るのか…。
その答えは迷わず、“馬とともに生きるため”です。馬は私にエネルギーをくれるから、生きる活力になる。
***
オカン トレーニングをする息子を見ているとまだまだ未熟で甘いと思う。集中して行動することが難しいので生活の中でしっかりトレーニングをしていく。厳しい母に変貌しよう。覚悟を!
できることが増え、自分のものは洗濯して干し、ときどき袖口からハンガーのつるしが出ることもある。米洗いはこぼさなくなった。朝食は、自分で作る。包丁使いも少しは、慣れてきたかな?
週末の競馬中継だけはしっかり見て感想を書き、祝いの手紙も書いていますが、読めないくらいぐちゃぐちゃな字なので、受けとってくださった厩舎の方には、申し訳ないと思います。お祝いを言うのが感謝の気持ちと嬉しさです。
今年の目標は、自分には何ができるかを見つけること。字を丁寧に書くこと(習字で賞をいただく)、自分自身のことをオレではなく私ということ、私のことをオカンではなく母ということ。
ガンバレ息子。
つねかつこと常石勝義&オカン
※次回の更新は3/1(火)を予定しています。
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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。
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