タタソールズ・ブリーズアップセール注目馬

2006年04月04日(火) 23:50

 昨年のセール出身馬から、G1ミドルパークS勝ち馬アマデウスウォルフ(父モーツァルト)、G1レイシングポストトロフィー勝ち馬パレスエピソード(父マキャヴェリアン)が出現。いずれも今季の英国3歳クラシックにおける有力候補になっており、益々その存在が重要視されてきた「タタソールズ・ブリーズアップセール」の開催が、4月19日・20日の両日に迫った。

 さすがに近年日の出の勢いで急上昇してきたマーケットだけに、今年のカタログも、おそらくはこれが市場に出回る最後の機会になるであろう父デインヒル(03年5月死亡)の牡馬が3頭いるのをはじめ、モンジュー、キングマンボ、ジャイアンツコウズウェイ、サドラーズウェルズ、シングスピールといった実績あるトップサイヤーの産駒から、ロックオブジブラルタル、ヨハネスバーグ、サーキーといった期待の新種牡馬の初年度産駒まで揃い、質の高い充実のラインナップとなっている。

 近年このセールの価値がうなぎ上りであることの背景には、ヨーロッパの馬たちが若駒の頃からクスリとは無縁であることが、改めて見直されているという事実があるようだ。アメリカのトレーニングセール出身馬が、日本に着いたらすっかり馬が萎んでしまい、セール当日とは別馬のようになってしまったという事例を少なからず耳にするのに対し、ヨーロッパのトレーニングセール出身馬は長い輸送を経ても、ほとんど変わらずに体調を維持出来る馬が多いと聞く。クスリの問題ばかりではなく、ヨーロッパの2歳セールはアメリカの2歳セールのように時計至上主義ではないから、馬に無理な負担がかかっていないことも大きなファクターとなっているようだ。しかも、昨年のこのセールの平均価格51,072ギニーは、日本円にしておよそ1,100万円程度。ファシグティプトン・コールダーの平均価格が今年遂に日本円で4,700万円にまで上昇したことを考えると、いかにもお買い得感がある。

 血統的な注目馬を何頭か御紹介しよう。

 上場番号8番の父アクトワンの牡馬は、昨年のG2ロイヤルロッジS勝ち馬で、これも今季の英国3歳クラシックの有力馬となっているレオの半弟。

 上場番号27番の父デインヒルの牡馬は、従兄弟に02年の欧州チャンピオン・ロックオブジブラルタルがいる。

 上場番号44番の父モンジューの牝馬は、昨年のG1レイシングポストトロフィー3着馬で、英国ダービーの前売りで上位人気推されているセプティマスの半妹。

 上場番号58番の父ロックオブジブラルタルの牡馬は、仏2000ギニー馬ランドシーアの甥で、1歳セールで日本円で3,500万円でピンフックされた馬である。

 上場番号135番の父エルナンドの牡馬は、兄にアスコットGC勝ち馬クラシッククリシェ、姉にヨークシャーオークス勝ち馬マイエマと、兄姉に2頭のG1ホースがいる。

 上場番号139番の父ティッズナウの牝馬は、母がBCジュヴェナイズフィリーズ2着馬スウィートロバータだ。

 上場番号180番の父インザウィングスの牡馬は、愛オークス馬ヴィンテージティップルの半弟である。

 セール初日の前日にあたる4月18日に、ニューマーケット競馬場のロウリーマイルコースで公開調教が行われた後、19日・20日のセールに突入するタタソールズ・ブリーズアップセール。同じ時期にニューマーケット競馬場で行われる、2000ギニー・1000ギニーへ向けた数々のプレップレースの模様も含めて、現地で取材にあたる予定なので、月末のこのコラムでその結果をお伝えしたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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