明日よりチェルトナムフェスティヴァル後半戦がスタート

2022年03月16日(水) 12:00

最後の最後まで至高の障害レースを楽しんでいただきたい

 先週に引き続き、欧州障害シーズンのハイライトとなるチェルトナムフェスティヴァル(3月15日から18日)の展望をお届けしたい。

 初日(15日)と2日目(16日)のメイン競走にはそれぞれ、オッズ2倍を切る大本命馬がいたが、開催後半のメイン競走は、いささか様相が異なる。

 まず、3日目(17日)に行なわれる、ハードル3マイル路線の総決算となるG1ステイヤーズハードル(芝23F123y)。ここは、ひと桁台のオッズに5〜6頭がひしめきあう大混戦模様となっている。そんな中、ブックメーカー各社がわずかな差で1番人気に推しているのが、昨年に続くこのレース連覇を狙うフローアリングポーター(セン7、父イェーツ)だ。

 昨季最終戦となったパンチェスタウンのG1チャンピオンズステイヤーズハードル(芝23F170y)で、最終障害を前にして競走中止、今季緒戦となったナーヴァンのG2リスマレンハードル(芝20F)でも、ハードル17戦目にして初の落馬と、この馬らしくない競馬が2度続いて心配されたが、前走12月28日にレパーズタウンで行なわれたG1愛クリスマスハードル(芝24F)では2着に好走。調子を取り戻したと見られている。

 ブックメーカーの多くが2番人気(オッズ4.5〜5.5倍)に推すのが、昨季のG1リヴァプールハードル(芝24F149y)勝ち馬タイムヒル(セン8、父ケイフタラ)だ。

 仏国に遠征して出走した今季緒戦のG1オトンヌ大賞(芝4800m)は5着に敗れたが、続くアスコットのG1ロングウォークハードル(芝24F97y)では、前年に続いて2着を確保している。飛越が巧みで、ここまで9戦して落馬は一度もない。

 タイムヒルと差のないオッズで3番手評価となっているのが、クラシカルドリーム(セン8、父ドリームウェル)だ。同馬は19年のG1シュプリームノーヴィスハードル(芝16F87y)の勝ち馬。同年12月のG1マセソンハードル(芝16F)で5着に敗れた際に後躯を傷め、1年以上にわたって戦線を離脱。復帰戦となった21年4月のG1チャンピオンズステイヤーズハードルを9馬身差で制し、劇的な復活を果たした。

 今季緒戦となったG1愛クリスマスハードルで、フローアリングポーターに2馬身先んじて優勝を飾った際には、G1ステイヤーズハードルの最有力馬と目されたが、前走1月17日にゴウランパークで行なわれたG2ギャルモイハードル(芝24F100y)では、圧倒的1番人気(1.33倍)を裏切り4着に敗退。評価を下げることになった。

 タイムヒルが2着となった、12月18日にアスコットで行なわれたG1ロングウォークハードルの勝ち馬チャンプ(セン10、父キングズシアター)が、オッズ5.5〜6.0倍の4番手評価。

 ハードルを2シーズン経験した後、19/20年、20/21年の2シーズンはスティープルチェイスを走っていた同馬。20年のチェルトナムフェスティヴァルではG1RSAインシュランスノーヴィスチェイス(芝24F80y)に出走して優勝。21年のチェルトナムフェスティヴァルではG1ゴールドC(芝26F70y)に挑み、競走中止に終わっている。

 今シーズンは3季ぶりにハードルに復帰。前述したように、G1ロングウォークハードルでいきなりG1制覇を果たした後、1月29日にチェルトナムで行なわれたG2クリーヴハードル(芝23F213y)は2着だった。

 そのG2クリーヴハードルを制したのが、19年のG1ステイヤーズハードル勝ち馬ペイズリーパーク(セン10、父オスカー)だった。

 20年のG1ロングウォークハードルを制して以降、5連敗中だったのが同馬で、1年1カ月ぶりの勝利を手にした実力馬ペイズリーパークが、オッズ6.5〜8.0倍の5番手評価となっている。

 続いて、開催最終日(18日)のメイン競走として行われる、スティープルチェイス3マイル路線の最高峰G1ゴールドC(芝26F70y)の展望に移ろう。

 ここは、ヘンリー・ド・ブロムヘッド厩舎のアプルタール(セン8、父カプガルデ)と、ゴードン・エリオット厩舎のギャルヴァン(セン8、父ゴールドウェル)による、「二強対決」ムードが色濃く漂っている。12月28日にレパーズタウンで行なわれたG1サヴィルズチェイス(芝24F)で、大接戦を演じたのが、この2頭である。アプルタールは、昨年のG1ゴールドCの2着馬。今季緒戦となったヘイドックのG1ベットフェアチェイス(芝25F125y)を22馬身差で圧勝して3度目のG1制覇を果たした後、前年に続く自身の連覇をかけて出走したのがG1サヴィルズチェイスだった。

 一方、昨年のチェルトナムフェスティヴァルではG2ナショナルハントチャレンジCノーヴィスチェイス(芝29F201y)に出走し、優勝していたのがギャルヴァンだ。今季緒戦のG3ベストフォーレーシングカヴァレッジチェイス(芝23F200y)を制し3度目の重賞制覇後、ダウンロイヤルのG1ラドブロークスチャンピオンチェイス(芝24F)でフロードンの2着となって臨んだのがG1サヴィルズチェイスだった。

 実績から見て、G1サヴィルズチェイスでオッズ1.73倍の1番人気に推されていたのがアプルタールで、ギャルヴァンはオッズ8倍の2番人気だった。最終障害の手前で先頭に立ち、逃げ込みを図ろうとしたアプルタールに対し、残り150mからエンジンに火がついたように末脚を伸ばしたのがギャルヴァンで、最後はギャルヴァンがアプルタールを短頭差交わして優勝。G1初制覇を飾っている。

 手元で調べたところ、ブックメーカー20社中、2頭を横並びの1番人気としているのが14社。アプルタール1番人気は4社で、ガルヴァン1番人気が2社となっている。2頭に続くのが、昨年に続くこのレース連覇を目指すミネラインド(セン9、父ビートホロウ)だ。

 今季はここまで3戦し、緒戦となったG1ラドブロークスチャンピオンチェイスがフロードンの3着。続くケンプトンのG1キングジョージ7世チェイス(芝24F)が競走中止。前走2月5日にレパーズタウンで行なわれたG1愛ゴールドC(芝24F61y)がコンフレイテッドの2着と、3連敗中だ。ただしこの馬、チェルトナム競馬場ではここまで3戦し、2勝・2着1回と好成績を収めており、舞台が相性の良いコースに変わっての本領発揮が期待されている。

 18日(金曜日)まで、欧州障害界における至高の戦いをお楽しみいただきたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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