ケンタッキーダービー動向定まる

2006年04月18日(火) 23:50

 5月6日(土曜日)にチャーチルダウンズで行われるケンタッキーダービーへ向けての前哨戦が、先週末でほぼ終了。戦線の全貌が明らかになり、「近走無敗の3頭」プラス「突如浮上した超新星」という戦いの構図が浮き彫りにされつつある。

 動向に大きな変化が無ければ、本番の1番人気は西海岸代表のブラザーデレク(父ベンチマーク)になるはずだ。バレッツマーチで27万5千ドルで購買されたブラザーデレク。12月にハリウッドパークのハリウッドフューチュリティでG1初制覇を果たすと、1月にG2サンラファエルS、3月にG2サンタカタリーナS、そして前走4月8日にG1サンタアニタダービーと、破竹の4連勝。鞍上アレックス・ソリスが「モンスター」と称する圧倒的強さで、西海岸の3歳世代を平定した。

 対する東海岸の代表が、デビューからここまで5戦5勝の負け知らずで来ているバーバロ(父ダイナフォーマー)だ。父がロベルト系で芝向きと判断されたバーバロは、昨年10月にデラウェアの芝のメイドンでデビュー勝ち。その後、ローレルの特別、年が明けてタンパベイダウンズのG3タンパベイダービーと、芝で3連勝を飾った。こうなると、陣営に「ケンタッキーダービーへ」という欲が出てくるのは当然で、試しにダートをと使ったガルフストリームのG3ホーリーブルSも無事無敗で通過。4月1日にガルフストリームで行われたG1フロリダダービーも横綱相撲で制して5連勝を飾り、遂にこの地区を代表する馬としてケンタッキーダービーに臨むことになった。

 更に、中部地区で勝ち続けているのが、4月15日にオークローンパークで行われたG2アーカンソーダービーを制したロイヤーロン(父ラングフュール)だ。デビュー当初、芝やターフウェイパークのオールウェザーを使われていた頃は勝ちきれない競馬が続いていた同馬だったが、ダートを専門に使われる様になって快進撃が始まった。昨年暮れに、ルイジアナダウンズとエヴァンゲラインダウンズでマイナーなレースを連勝すると、1月にルイジアナダウンズのG3リズンスターSで重賞初制覇。その後オークローンパークで、特別のサウスウェストS、G3レベルS、G2アーカンソーダービーと勝ち、6連勝でケンタッキーダービーに臨むことになった。

 連勝を重ねることでダービー有力馬の地位を築いてきたここまでの3頭と異なり、最終プレップのパフォーマンス一発で急浮上したのが、シニスターミニスター(父オールドトリエステ)だ。今年1月に、デビュー2戦目のサンタアニタのメイドンを8馬身差で制して初勝利を挙げた時には、一部の関係者から注目を浴びたのだが、その後、サンタアニタのG2サンヴィセンテSが6着、相手を落としたゴールデンゲートのカリフォルニアンダービーでも2着に敗れ、評価を落としていた。

 ところが、4月15日にキーンランドで行われたG1ブルーグラスSに強気にエントリーすると、BCジュヴェナイル3着馬ファーストサムライをはじめとしたメンバーを相手に12.3/4馬身差の大楽勝。一気に戦線の上位に名を連ねる存在になったのである。バレッツマーチセールでわずか4万ドルで購買された同馬。ケンタッキーダービーを制すれば、希有の出世物語が完成することになる。

 シニスターミニスターを管理するボブ・バファート厩舎には、4月8日にアケダクトで行われたウッドメモリアルSの勝ち馬ボブアンドジョンもおり、さすが「ダービー・ボブ」の異名をとるに相応しい陣容を整えている。

 混戦模様のラン・フォー・ローゼスがどんな結末を迎えるかに注目したい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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