2022年06月04日(土) 12:00
今年も新馬戦がスタートした。来春をにらんでデビューする若駒たちの可能性がどの辺にあるのか、それを探るのだが、勝っても負けても見所がみつけられれば、はっきり次のステップに踏み出すことができる。
とにかくどういうタイプに成長していけるか、それを探るのが一番肝要だ。自分の下した判断がこの先につながっていければ、まずは成功と思っていい。一度走って駄目でも、2戦目、3戦目と走るうちにその馬の将来像を描いていきたい。その中には、当然距離適性がある。
今週出走する安田記念組の最初の頃がどうであったか、あるいは、いつ頃からマイラーをはっきり意識するようになったか、ちょっと振り返るのも意味があるだろう。
ベストマイラーを決める安田記念は、いくつかあるマイルの重賞で好走してきたもの、NHKマイルC、朝日杯FS、牝馬なら桜花賞の成績などがまず気になる。
さらには、古馬なら京王杯SCやマイラーズCなど前哨戦の結果、さらには高松宮記念、大阪杯といった異なる距離を戦ったものが参戦することも多い。それだけに、絶対王者がいないときにはいつも大混戦、波乱を予想したくなる。また、絶対王者がいたときこそ、人気薄の伏兵がとび込んでくるものでもある。
昨年は8番人気のダノンキングリーが、マイルのGIを4勝もして連覇のかかった同世代の女傑グランアレグリアを、アタマ差で破っていた。勝ちタイムが1分31秒7、スムーズに外から伸びた上がり3ハロンが33秒1と切れ味鋭く7ヶ月ぶりの本番をものにしていた。
グランアレグリアはこの上がりを上回る32秒9をマークしていたが、位置取りが後ろすぎていた。ヴィクトリアマイルを勝って中2週がきつかったという見方もあったが、それより、これまでGIIを2勝していたダノンキングリーが、ディープインパクト産駒の本領を大一番で発揮したと見ておきたい。
似たようなことは、2017年にもあった。勝ったのが7番人気のサトノアラジン。このディープインパクト産駒の6歳馬も4角15番手から最速の上がりをマークし、GI・7度目の挑戦でマイルの王者に輝いていた。
そして、この2頭とも川田騎手の手綱だった。緩みないペースをじっくりと脚をためて、長い直線を狙いすまして追い込んでくるという戦い方は、いかにも川田騎手に合っていたし、伏兵の典型といっていい。
今年は川田騎手は、2年前に無傷の3連勝でホープフルSを勝ってから以後、ずっと勝利から遠去かっているダノンザキッドで出ているが、昨秋のマイルCSでグランアレグリアの3着でも、その差が0秒2だったことから、充実期に入る4歳馬の仕切り直しに期待してみたい。
あと、混戦のこのメンバーなら、4連勝で東京新聞杯を勝ち、芝のマイル5戦4勝2着1回で底を見せていないイルーシヴパンサーも面白そうだ。こちらも4歳馬、いずれもこの先も含めて注視していきたい。
「上半期 マイルで締めて 秋を待つ」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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