2022年07月10日(日) 18:02 54
▲スカーフェイスを管理する橋田満調教師(C)netkeiba.com
大切に育てられながら4勝を挙げ、GI・大阪杯では上がり3ハロン最速タイで6着だったスカーフェイス。6歳のこの夏、初めて北海道でレースを迎えます。出走するのは函館記念。これまで2勝を挙げた岩田康誠騎手とコンビを組む予定で、橋田満調教師はスカーフェイスのある特徴から、このコンビが合っていると話します。前走・大阪杯以降の状態も含め、函館記念に向けてうかがいました。
(取材・構成:大恵陽子)
──スカーフェイスは約7カ月の休養を2度挟みながら、オープンまで勝ち上がってきました。
橋田 素質があって、はじめからいいところを持っていましたが、若い時はトモを少し捻るような歩き方で力が入りにくい面がありました。左回りより右回りの方が成績がいいのも、持って生まれた走り方によるところがあるんだと思います。年齢を重ねてトモがしっかりしてきたことで、弱点もカバーできるようになり、こうして走れるようになってきたと思います。
──2020年12月に約7カ月ぶりにレースに出走すると、プラス20kgでした。このあたりで大きく成長したのでしょうか。
橋田 それまでは440kg前後で出走していましたが、ここでだいぶ成長しました。
──そして続く「2020ヤングジョッキーズシリーズファイナルラウンド阪神第1戦」は抽選によって地方・大井競馬所属の吉井章騎手が騎乗し、勝ちました。
橋田 このレースは初めてJRAで騎乗する騎手がたくさんいて、競馬の流れもいろいろと難しかったと思いますが、吉井くんはこの馬のいいところを引き出してくれました。レースの流れとしてはそんなに遅くはなかったんですけど、いつもより前で競馬をしたんですよね。スカーフェイスはちょっとハミを掛けながら乗らないといけなくて、上手くそういう乗り方をしてくれました。
▲吉井章騎手を背に2勝目を挙げた(C)netkeiba.com
──この時の写真は地方競馬教養センターの騎手課程生徒募集パンフレットの表紙にも使われていました。
橋田 なるほど、吉井くんが乗って勝ったからですね。スカーフェイスもそうやって盛り上げる一助になったんですね。
地方競馬出身の騎手はどちらかと言うとハミを掛けながら乗る人が多いのかなという印象で、そういう乗り方がこの馬には一番合っていると思います。この馬と2勝を挙げる岩田くんがそうですね。
──そうして、レース終盤では末脚をしっかりと使える、と。
橋田 しまいの脚は結構長く使えますからね。一瞬でグッと反応するような器用に立ち回るタイプじゃなくて、じわ~と伸びてくる馬です。
──そうなると、スカーフェイスに合ったコース形態や展開と言いますと?
橋田 阪神がすごく合っている、ということが言えます。
──4勝のうち初勝利を除く3勝が阪神でのものですね。
橋田 そうなんです。今回は函館ということで、岩田くんに「小回りはどうかな?」と聞くと、「小回りは小回りなりのやり方があります」ということで、考えているようです。
▲函館記念も、相性◎の岩田康誠騎手とのコンビで挑む(C)netkeiba.com
──6歳のスカーフェイスにとって初めてとなる北海道参戦ですが、函館記念を選んだ理由は?
橋田 右回りと、2000mという距離です。
──ここを勝てば、橋田調教師は「JRA全10場重賞制覇」ということになります。
橋田 そのようですね。レース本来のこと以外にはこだわらない方がいいと思いますし、あんまり考えると上手くいきませんから、考えないようにしています。
──これまで数々の活躍馬を管理してこられましたが、その中で印象に残っている出来事を教えてください。
橋田 いろんなことが思い出に残っていますが、「この仕事をしていていい体験をしたな」と思うのが、サイレンススズカの金鯱賞で、4コーナーを回って後続を離すと拍手が起こったんです。まだゴールはだいぶ先なのに。ファンのみなさんが競馬を楽しんでらっしゃることが伝わってきました。
▲2着馬に大差をつけて圧勝したサイレンススズカの金鯱賞(撮影:高橋正和)
──セリのシーズンにもなりますが、活躍する馬にはどういった共通点を感じますか?
橋田 一般的なことで言うと、体が柔らかくて、筋肉に弾力があって、それでいていい心肺機能を持っている。また、気性がしっかりしていることでしょうか。それぞれの馬に持ち味が違いますし、他にもいろんな要素があると思います。競走馬の場合は、これで十分だっていう条件はないんですけど、必要な条件はたくさんあります。それをできるだけ多く満たしている馬が強いですね。
──栄養素のグラフのように、総合的に満たしている方がベターというわけですね。
橋田 ひと言で言い切ることはできないですが、だからこそ面白くて難しいです。ファンの皆さんもそれを楽しんでいると思います。
──そうした中、スカーフェイスのようにGIや重賞に出走することはすごいことだなと感じます。
橋田 重賞に出走することが我々の社会では一つの目標です。それがGIで、さらに勝てたらそれに越したことはありません。スカーフェイスはまだ重賞を勝っていませんが、どこかで勝てればいいなと思っています。
──最後に、函館記念に向けて意気込みを聞かせてください。
橋田 右回りを得意としていて、2000mも得意です。使いつつ良くなってくる馬なので、休み明けの今回、大阪杯の時のようなパフォーマンスを出せるかどうか、ということになりますが、少し早めに入厩させて調教量も十分にこなしています。徐々に良くなって、体調も戻ってきていますから、あと1週間でどのくらいの状態までなるか、ですね。函館記念に向けて、みんなで力を合わせて頑張っています。
(文中敬称略)
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netkeiba特派員
ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!