今村聖奈騎手(4)──「レース中の駆け引きに勝ちたい」今村騎手の“競馬脳”に迫る

アプリ限定 2022年08月08日(月) 18:02

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▲レース中の騎手同士の駆け引きとは(撮影:桂伸也)

今村聖奈騎手の生い立ちから現在の思考まで徹底解明する短期連載「エモーショナル」。今村騎手が「netkeiba」のコラムに登場するのは、実は今回が2回目。初勝利を挙げたばかりの3月下旬、新人騎手を紹介するコラム「わたしの履歴書」で騎手の志望動機や趣味などをお話しいただきました。その中の「自己PR」でこんなことを話していました。

これからは、レースの中でどういったことが始まっているのかをもっともっと読んで、自分も周りの駆け引きに置いていかれないように頑張りたいなと思います。

デビュー1カ月に満たない時点でジョッキー同士の駆け引きに着目していた今村騎手。それが生かされたのがCBC賞直後の小倉12レースでした。周りの馬の動きを冷静に読み、最内から抜け出したレースの詳細な回顧をしていただきました。

(取材・構成=大恵陽子)

レースの朝は必ず芝コースを歩くように

 デビューして実際にレースに乗ってみると、騎手同士の駆け引きがその中で始まっていました。その内容はレースによって全然違うし、乗っている騎手の性格もあると感じています。

 ダート1800mのような1周するレースだったら、向正面に出た時に、「あの馬がやっぱり逃げたんだ」とか、ノリさん(横山典弘騎手)が後ろにいらっしゃったら「ノリさんが上がっていった時に後ろについて行こう」といったことを考えています。

 そういう点で、今年のダービーは見ていて面白かったです。テレビで流れる横からのレース映像だったら分からないこともパトロールビデオの縦からの映像で見ると、人気馬を出させないように蓋をしているジョッキーがいたり、人気馬に外を回させるためにこうしているのかなとか、いろんな駆け引きを感じられました。

 デビューした時はレースの中で浮いている感じもありましたが、月日が少し経って競馬の流れについていけるようになりました。まだまだ流れや駆け引きを読めてはいないんですけど、当時のような「何も分からずに終わっちゃいました」みたいな感じじゃなくなりました。

 レース前の準備では、基本的に全レースで新聞とにらめっこしています。ずっと教えてもらっている(福永)祐一さんが新聞でいろいろとデータ分析をされる方なので、真似っこしています。

 最初は本当にもう「全然分かんない……」という感じだったけど、見るところをある程度定めていくと、前に行く馬や時計の感じで「この馬はスローペースになるとどうかなあ?」などと考えられるようになりました。

 また、一緒のレースに乗ったことのある馬だと、「たしか右にモタれていたな」とか「ちょっとコントロールが難しそうな馬だったな」ということは、大体覚えています。

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▲競馬新聞は見るところをある程度定める(撮影:桂伸也)

 レースの日は毎朝、芝コースを歩くようにしています。これはデビューした日から必ずやっていることです。

 開幕週の新潟競馬場を歩いた時はめちゃくちゃ硬くて、馬場造園課の方に聞くと「新潟は雪解け水の影響で硬くなっているから、雨が降らないと柔らかくならないんだよね」ということでした。その通り、2週目になると雨も降ってちょっと緩んで、走りやすくなっていました。

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今村聖奈

2003年11月28日生まれ、滋賀県出身。栗東・寺島良厩舎所属。父は元JRA騎手の今村康成(現調教助手)。競馬学校騎手課程の第38期生で、同期の角田大河と大久保友雅とは幼馴染という関係。2022年3月にデビュー。3月13日の阪神8Rで、デビュー17戦目で初勝利。7月3日、テイエムスパーダに騎乗したCBC賞で、日本レコードを更新しての重賞初騎乗初勝利を飾った。

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