2022年08月10日(水) 18:01 101
▲最終回は勢いに乗る克駿騎手の目標を伺います(撮影:桂伸也)
鮫島克駿騎手との対談は今回が最終回、これまで3回にわたって大躍進の秘密を探ってきましたが、最後は今後の目標を伺います。穴馬を持ってくるイメージが強い一方で、「重賞の1番人気はたぶん全敗です」と課題を挙げる克駿騎手。
しかし、1番人気で迎える重賞でもあまりプレッシャーは感じないとのことで「馬を信じている」と競馬への心境を話します。そんな中“まだまだ”と言わんばかりに先輩騎手からの助言があったようで…。大舞台へのチャンスを掴むために、克駿騎手が目指すジョッキー像とは? 目標とするGI制覇への思いも語っていただきました。
(取材・構成=不破由妃子)
佑介 さっきも少し話に出たけど、克駿のお父さんといえば、佐賀の名手・鮫島克也騎手(現調教師)。今もお父さんとはよく話したりするの?
克駿 そうですね。最近はだいぶ少なくなりましたが、父が気に入らないレースを僕がしたときは、すぐに連絡がきます。これはもう絶対(笑)。
佑介 そうなんや(笑)。何回かは一緒に乗ったんだっけ?
克駿 はい。佐賀でも中央でも一緒に乗りました。
佑介 お父さんにとっても克駿にとっても、それはよかったよね。
克駿 でもなんか…、父も年齢を重ねたからか、昔ほどアグレッシブな感じではなくなっていたので、もっとバリバリのときに一緒に乗りたかったなぁと思いましたね。昔はもっとこう燃えていたというか、ギラギラしていたというか。
──克駿さんは、どちらかというとアグレッシブなタイプですものね。
克駿 はい! ギラギラしてます(笑)。
──とはいえ、お父さまからは、ホースマンとして多大なる影響を受けたのでは?
克駿 さっきも話に出たレース前の準備については父の影響が大きいです。父は本当にすごかった。自分が乗る馬の映像をずーっと見ていて、何度も見返して、次のレースに切り替えてまた見返して…。子供だったので、「なんでこんなに何度も見るんだろう」と思っていましたけど、その準備をしている姿が僕のなかに自然と焼き付いたんでしょうね。
佑介 それがしっかり克駿のストロングポイントになってる。こういう馬だからこういうレースをしようと意志を持って乗っているし、それがちゃんと伝わってくる。
克駿 相手の馬についても、どっちにモタれるかとか頭に入ってます。その情報が入っているだけで、何秒後かの動きが読みやすくなるので。
▲レースを何度も見返す準備は父譲りだそう(撮影:桂伸也)
──そのほか、ご自身のアピールポイントというと?
克駿 一生懸命に乗ること! あとは、さっきもお話ししたインへの意識と、スタートにも得意意識があります。
佑介 確かに、克駿の出遅れはあまり見たことがないかも。あと、もうひとつ克駿のセールスポイントを思い出した。ゴール前で接戦になったときの“お願いゴール”!
克駿 お願いゴール、ありますねぇ(笑)。
──“お願いゴール”って何ですか・・・
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。