加矢太騎手が感じる“背中がいい馬”とは? クリソベリルやピクシーナイトに感じた「丸太のような背中」

アプリ限定 2022年09月05日(月) 18:01

加矢太論

▲加矢太騎手が“背中がいい馬”を解説(撮影:高橋正和)

調教師や牧場のスタッフなど、馬の育成に関わる方から度々聞く「背中がいい」という表現。いくつもの馬に跨った経験がないと感じることのできない感覚のため、競馬ファンの方に理解してもらうのは非常に難しいものですが、今回はその「背中がいい馬」について加矢太騎手がわかりやすく解説します。

騎手としてデビューする前の1年間、ノーザンファームしがらきで働いていた加矢太騎手。そこで出会った砂のGI/JpnI4勝馬クリソベリルは加矢太騎手にとって“最高の背中”だったと話します。他にもピクシーナイトやインディチャンプといったGI馬に共通した背中とは?

(取材・構成=不破由妃子)

よくない背中=頼りない背中

 障害デビューを目指すことが決まり、8月17日から障害の練習を開始したタマモワカムシャですが、ひとまず今週、地方交流戦を使うことになったと報告がありました。センスがよく、すでに障害試験のコースを1周ゆっくりと飛べるくらいになっていたので、本当は先週の木曜日に障害試験を受けようかと思っていたのですが、併せ馬のパートナーの状態が整わず、先送りに。そういった経緯もあり、地方交流戦を使ったのち、改めて試験に向けて調教を進めていくことになりました。

 厩舎の方によると、ワカムシャはもともと「背中がいい」と評判の馬だったとのこと。でも、いざデビューしてみたら「あれ?」という感じで…。持論ではありますが、背中はいいのに全然走らない馬は、何らかの気性的な癖が能力の邪魔をしているだけだと思うんですよね。北総乗馬クラブ時代から多くの競走馬に跨ってきましたが、実際、背中がいいのに未勝利で終わる馬って、僕が知る限り、ほとんどいませんでした。

 僕がワカムシャに乗って感じたのも、気性の難しさです。ソッパという行動なのですが、調教スタンド前で跨ろうとしたらガン!とアタマを上げたり、少し前までは人を蹴りにいこうとしたりもあったとか。セン馬なのに牝馬みたいなところがあって、優しくしてあげないと「フン!」とあっちを向いてしまう…そんなタイプでもあります。

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小牧加矢太

1996年12月24日、兵庫県生まれ。父・小牧太は現役ジョッキー。一度は競馬騎手を志すも、身長の高さから体重制限が難しく、馬術の道へ進む。数々のタイトルを獲得し、2022年にJRAの障害騎手としてデビュー。2024年にはホッコーメヴィウスとのコンビで新潟ジャンプステークスを制し、重賞初制覇。同年には障害リーディングを獲得、JRA賞最優秀障害騎手にも選出され、異例のスピードでトップジョッキーの仲間入りを果たした。

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