10戦無敗のバーイードが今週末ラストラン

2022年10月12日(水) 12:00

今年のチャンピオンズデイはこの馬のためと言っても過言ではない

 イギリスにおける芝平地シーズンのクライマックスとなる「ブリティッシュ・チャンピオンズ・デイ」が、15日(土曜日)にアスコット競馬場を舞台に開催される。

 10日(月曜日)に2次登録が締め切られ、4つのG1を含む5重賞の顔ぶれが、ほぼ固まった。それぞれのレースの有力馬をご紹介していきたい。

 オープニングカードとなるのが、距離15F209yのG2ブリティンシュ・チャンピオンズ・ロングディスタンスCだ。

 ここは、20年・21年に続き、3連覇を目指すトゥルーシャン(セン6、父プラントゥール)が中心だ。このベテランステイヤーに、前走G1セントレジャー(芝14F115y)を制したエルダーエルダロフ(牡3、父ドゥバウィ)、前走カラのハンデ戦アイリッシュ・シザーウイッチ(芝16F124y)を制したウォーターヴィル(牡3、父キャメロット)といったフレッシュな3歳世代が、どこまで迫るかが見どころである。

 2レース目となるのが、距離6FのG1ブリティッシュ・チャンピオンズ・スプリントだ。

 ここも中心となるのは、昨年に続くこのレース連覇を目指すクリエイティブフォース(セン4)となる。

 前々走G1スプリントC(芝6F)3着後、10月1日に同コース・同距離で行われたG3ベンガフS(芝6F)を勝っての参戦となるロハーン(セン5、父メイスン)が2番手評価。

 前走のG1ラフォレ賞(芝1400m)を含めて、直前重賞3連勝のキンロス(セン5、父キングマン)、昨年のこのレースの4着馬で、カラのG3ルネッサンスS(芝6F)を勝っての参戦となるアートパワー(牡5、父ダークエンジェル)、ロイヤルアスコットのG1コモンウェルスC(芝6F)を含むこの路線のG1・3勝馬パーフェクトパワー(牡3、父アーダッド)までが、オッズ10倍以下にひしめいている。

 続いて行われるのが、牝馬による距離11F211yのG1ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズだ。

 前売り1番人気は、G1英オークス(芝12F6y)2着馬で、最下位に終わったG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)以降、戦線を離脱してじっくりと立て直しを図っての参戦となるエミリーアップジョン(牝3、シーズスターズ)だ。

 前々走のG3ミネルヴ賞(芝2500m)、前走のG3プリンセスロイヤルS(芝12F)という2重賞を含めて、目下4連勝中というエターナルパール(牝3、父フランケル)が前売り2番人気と、3歳世代が高い評価を得ている。

 古馬勢では、前走のG1ロワイヤリュー賞(芝2800m)を含めて、直前重賞3連勝中のシーラローザ(牝4、父シーザスターズ)が筆頭格だ。

 ブリティッシュ・チャンピオンズ・デイの準メインとなるのが、距離8FのG1クイーンエリザベス2世Sである。

 ここは、前走G1ジャックルマロワ賞(芝1600m)を制し、3度目のG1制覇を果したインスパイラル(牝3、父フランケル)が、1頭抜けた存在と見られている。

 前々走のG1サセックスS(芝8F)でバーイードの2着になった後、前走カナダのG1ウッドバインマイル(芝8F)を制し3度目のG1制覇を果したモダンゲームズ(牡3、父ドゥバウィ)が、2番手評価。

 20年のこのレースの勝ち馬で、前走G2ダニエルヴィルデンシュタイン賞(芝1600m)が2着だったザレヴナント(セン7、父ドゥバウィ)が、3番手評価となっている。

 そして、チャンピオンズ・デイのメイン競走として施行されるのが、9F212yのG1チャンピオンSである。

 ここは、現役ラストランとなるバーイード(牡4、父シーザスターズ)が、どのような”勝ち方”を見せるかが、最大の見どころだ。2022年のブリティッシュ・チャンピオンズ・デイは、この馬のためにあると言っても過言ではないほど、大きな注目が世界中から集まっている。

 最大の敵は、バーイードと同世代で、G1英ダービー(芝12F6y)、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)を制しているアダイヤー(牡4、父フランケル)となる。今年春先に咳の症状が出て、これをこじらせてなかなか出走態勢が整わず、9月8日にドンカスターで行われた条件戦(芝10F43y)でようやく今季初戦を迎え、そこを勝っての参戦となっている。

 ブリティッシュ・チャンピオンズ・デイの模様は、グリーンチャンネルで中継される予定(23時〜24時30分)だ。クイーンエリザベス2世SとチャンピオンSはライブで、それ以前の3レースはVTRで放映される予定で、筆者は、現地アスコットから解説をお届けするべく準備を進めている。

 この時季のイギリスだけに、心配されるのは馬場状態だが、アスコットの馬場は週初めの段階ではGood to Soft。今後、雨予報が出ている日もあるのだが、それほどひどい状態にはならない見込みだ。

 バーイードのラストランをこの目に焼き付けるのを、筆者も楽しみにしている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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