2023年01月11日(水) 12:00 26
2023年最初のコラムは、常石さんが新しくチャレンジしている「部班運動乗馬」についてです! グループで練習することで、新しい発見がありました。福永祐一騎手、和田竜二騎手といった自慢の同期たちの活躍に刺激を受け、決意を新たに頑張ります!
あけましておめでとうございます。
昨年も「日々是好日」にお付き合いありがとうございました。
今年もよろしくお願いします。兎のように跳ねていきたいと思います。
歓喜! 第67回有馬記念(GI・芝2500m)
3歳馬イクイノックスがわずか5戦のキャリアでつかんだグランプリ! おめでとうございます。関係者の皆様への最高のクリスマスプレゼントになったでしょう。
▲有馬記念を制したイクイノックスとC.ルメール騎手(撮影:下野雄規)
タイトルホルダーの逃げを見据え、絶好のポジションから直線に向くと並ぶ間もなく交わし、ゴールを突き抜ける瞬間は圧巻でした。
イクイノックスの能力を最大に引き出したルメール騎手の手綱捌きに乾杯! 春からの活躍も楽しみです。
ボルドグフーシュは、来年2月で騎手を引退し新たに調教師へ転身する福永祐一騎手を背に惜しくも2着。
ラスト有馬記念、僕の記憶に残すことができました。やっぱり12期生の活躍からは目が離せない。
競馬は、いろんなドラマがありファンの感情を爆発させる素晴らしいエンターテイメントだと思う。
僕の印象に残っているのは、 2012年有馬記念のゴールドシップです。須貝厩舎で今浪厩務員さんの担当。とってもやんちゃで調教中も立ち上がったりして今浪さんを困らせていましたが、今浪さんはゴールドシップのことをなだめてかわいがっていました。馬といつも話していましたね。
この有馬記念の勝ちっぷりは最高でした。スタートは出遅れたが、芦馬の馬体がすごい勢いで飛んできました。力でねじ伏せた見事なレースでした。優勝レイもつけなかった強気のゴールドシップ。愛情たっぷりに育てられ、のちに芦毛の怪物と呼ばれる名馬です。
▲2012年有馬記念、鞍上は内田博幸騎手(撮影:下野雄規)
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現在、新しく部班運動乗馬に取り組んでいます。部班とは、グループレッスンで“馬は前の馬についていく”という習性を生かすレッスンです。ずっとマンツーマンの個人レッスンを受けてきましたが、一度部班レッスンをしてみようと12月からはじめています。
7人グループで行われ、先頭と最後部はベテランの方が騎乗し、馬との間隔は1馬身ほど開けて縦1列になり常歩、速歩、駆歩、輪乗りなどの動きをします。
▲部班練習の様子
僕が騎乗している馬は『明輝号』。競技馬ですごく元気がよく活発に動く馬なので、初めて参加したときは、元気良すぎて前の馬との距離が上手くとれませんでした。追いこそうとしたりして迷惑をかけてしまいました。
トレーナーから「馬のことがよくわかっているんだから少し外へ出すなど工夫するように」と注意を受けました。ずっと個人レッスンをしてくれていた薫先生もハラハラドキドキしながら見守ってくれ「駆歩を出す時は、足を踏ん張ってポンと出さないとグループに迷惑かかるよ」とアドバイスしてくれました。
1人で乗っている時とは違い、他の人と歩調を併せることはとっても難しいです。でも2回目からは、完璧ではないが合わせることもでき、何とかついていけるようになりました。
トレーナーから「さすが薫先生の指導を受けていたから上手いね」と褒めていただきうれしかったですが、薫先生からは「自分の馬のことだけを考えて動くと、みんなに迷惑がかかるし事故にもつながるから全体の動きに合わせることが大事だよ」と厳しい指導がありました。
“大会に行ったときも、競技だけではなく講義受ける、食事などの全体行動では常にみんなのことを考え一人行動はしない”
あーそうなのか。部班練習とは、馬に乗るだけではなく、生活面でも大事だということを薫先生は、教えてくれました。
わかっているのですが、振り返ると1人で先に食事をしたり勝手な行動することがあったなと思った。
個人レッスンも大事ですが、部班練習で馬としっかりコンタクトを取り、前後の感覚などに気を付けながら、前についていくのではなく自分の指示が出せるように乗る。
前についていくだけの馬は、馬とライダーが集中せずダラダラと進み扶助を受ける準備ができていません。
部班練習全体の動きをよく見て、きれいにまとまりのあるように気を付けないといけないのです。
例えば順次巻き乗りの時は、前の馬が進んだ線を踏むようにし先頭の馬とシンクロするように進みます。
こんな動きがみんなと一緒にできるととっても気持ちがいいです。
馬に正しい扶助を出せるように練習していきたいです。流れに任せるのではなく部班の中で自分の馬に集中し、乗りながら合わせていくことがとっても大切です。
課題はまだまだありますが、トレーナーから部班の先頭を任されるように頑張ります。大会の経路を覚えるという課題もあるので、これからも気を引き締めて乗っていきたいと思います。
▲これからも気を引き締めて乗っていきたい!
同期の福永騎手も難関を突破して調教師になります。同期では高橋亮調教師に続いて2人目。おめでとうございます。僕の誇りです。
競馬学校時代から勉強家で、いつも「お父さんを超えることはできないが少しでも近づきたい、競馬に名を残せる騎手になりたい」と夢を大きく持っていました。
ダービー制覇、三冠制覇、13年連続100勝達成と次々に記録を作り、努力しているのがよくわかりますが、これはなかなかできない事です。ユーイチの功績に拍手。
馬とじっくり向き合いたいというユーイチ。騎手ならではの思いだと思います。競馬界が盛り上がっていきますね。福永厩舎も追っかけしたいと思います。和田騎手も引退競走馬を追いかけて活動を始めていますね。
僕も「みんなの同期だよ」と言えるようにこれからも頑張ります。
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オカン 福永騎手、調教師試験合格おめでとうございます。息子の自慢の同期です。僕も頑張る。と大きな刺激を受けています。調教師としてのご活躍も楽しみです。
福永騎手のお母様に“おめでとうございます”と連絡させていただくと、「大変だけど一つ一つやりたいことをクリアしてくれているので応援していきたい」と話されていました。素敵な親心ですよね。お父様も喜んでおられることでしょう。とってもかわいい笑顔をされるので歓びの笑顔を拝見するのが楽しみです。
親の一言より友達の活躍がとってもいい刺激になっています。先日も聴覚障碍者施設みみの里から引退競走馬支援のTCCへ行くとばったり和田騎手と会う。「おーわっくん!」とニンマリ笑顔。ツーショットで写真を撮っていただきましたが、現役騎手との体格の差が大きいことに気づいたかな。かなりブータンになっています。現役時より10キロ太り、乗馬でも太りすぎと注意されているようです。
▲TCCセラピーパークにて、和田竜二騎手と
新しく部班の練習をしていますが、7人そろって練習に合わせる難しさをクリアしていけるか期待したいです。
ダイエットに経路覚え等、難しい課題山積みですね。あきらめずに頑張れ! 息子よ。
つねかつこと常石勝義&オカン
(文中敬称略、次回の更新は2/1(水)を予定しています)
常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。