アプリ限定 2023年02月24日(金) 18:02
▲この冬小倉でコンビを組む安田翔伍師と野中騎手(撮影:大恵陽子)
今週まで約2カ月にわたって開催された小倉競馬。その期間中、美浦・野中悠太郎騎手(26歳)が栗東に滞在していました。きっかけは安田翔伍調教師が「興味があるなら栗東に来てみない?」と声をかけたことだったのですが、そこには3回連続で翔伍師を驚嘆させた返し馬での馬へのアプローチ、仲をとりもった横山典弘騎手からのアドバイスなどが追い風となっていました。
先週18日にはジャンカズマでコンビ初勝利を挙げたお二人に、タッグを組んだ経緯を詳しく伺いました。
(取材・構成:大恵陽子)
──年明けからの小倉開催中、野中悠太郎騎手が栗東に滞在し、小倉競馬へ参戦していると安田翔伍調教師から伺ったのですが、きっかけは何だったのでしょうか?
翔伍師 暇そうだったから(笑)。
野中騎手 実際、暇でした。
翔伍師 僕は調教師になった今も調教に乗っていて、負荷をかけたりコンディションを把握することはもちろん、調教助手時代から引き続いて乗る技術への意識も持っています。レースでそれが直結するのが返し馬で、馬をどうなだめて、どんな風にキャンターを下ろすのかを見るのが好きなんですよね。
一昨年の暮れくらいにたまたま「これ誰だ?」と気になった返し馬が3回続いて、それが野中騎手だったんです。その頃は喋ったこともなかったですけど、返し馬の丁寧な下ろし方が良くて、そこから競馬も注目して見るようになりました。横山典弘さんにも「野中騎手はどんな子ですか?」と聞くと、「すごく考えて乗っているよ」と。ちょうどその頃、(横山)和生も冬の小倉に2年続けて来ていて、本人自身も「すごく弾みがついた」と言っていましたし、僕らも成績だけでなく1頭1頭に対するアドバイスがすごく有効だったので、そういうやり取りができる騎手がいてほしいな、と考えていました。所属厩舎があるので、向こうの都合が大丈夫だったら声をかけてみようかな、と思って初めて喋ったんですよね。
野中騎手 経緯を具体的に聞くのは初めてです。去年の5月ぐらいに東京競馬場で帰ろうかな、と思ったら突然先生に声をかけられました。
翔伍師 誰やこいつって?
野中騎手 いや、それはないです(笑)。当然、先生のことは知っていました。「もし興味があるなら来てみない?」と言われて、すごく嬉しかったです。これまで美浦で新規開業する調教師の先生から「競馬を見ていて乗ってほしいから、調教を手伝って」と言われたことはありましたけど、なかなか接点のない関西の先生に声をかけてもらう経験は一度もなかったので、ビックリしたとともに嬉しくて、「ぜひぜひ! 所属の根本先生に相談してみます」と答えました。
▲声をかけられたのはびっくりしたが嬉しかった(撮影:大恵陽子)
──声をかけられたきっかけとなった返し馬はずっと意識されていたんですか?
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