【#6】激動の1日を終え気持ちを整理──「小牧太騎手との電話で一歩前へ進むことができた」

アプリ限定 2023年05月28日(日) 18:02

shirahama

▲面会を終えた後は一泊して自宅のある滋賀へ(撮影:桂伸也)

障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、昨夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。

意識のない夫との面会を終え、2人の子供を連れ滋賀の自宅に帰る最中。電車から見えるたくさんの幸せな光景に「私はあの世界に戻ることが本当にできるのだろうか」という悲しみの感情に包まれました。

そんな時、翌日にBBQの約束をしていた小牧太騎手から電話がかかってきます。小牧騎手らしい励まし方で、気持ちの整理をひとつつけることができました。

1人では元に戻らなかった沈んだ気持ち…

 この日、私たちが宿泊するホテルは、JRAさんが手配してくださいました。小倉で花火大会が開催されていたため、ツインやダブルの部屋が取れず、シングルの部屋を大人の人数分用意してくださいました。

 大人ひとり、園児ふたりがシングルベットで眠るのは無理があるので、長男は義母の部屋で寝てもらうことに。パパに変わって親孝行をしてもらう作戦です。息子に打診をしたら「ラジコンを買ってくれたらね!」と言うので仕方なく了承。私に似て、息子もしっかりちゃっかり者です(笑)。

 息子は、ホテルの部屋でパパにお手紙を書いてくれたのですが、そこには「ぱぱ はやくげんきになってね」と、書かれていました。何もわかっていないような振舞いを見せながらも、実際はさまざまなことを理解していたのでしょう。そして、息子なりに精一杯考え、できることをしてくれた。優しくて強い、いい子です。本当に感動しました。

 そんな息子の思いに応えるためにも、何が何でも回復してもらうのだと強く思いました。

 翌朝8時前に主治医より電話があり、昨夜は大きな変化がなかったことを教えていただき、滋賀に帰ることを勧められました。

 コロナ禍でなければ親族が病院に残るのでしょうが、面会禁止ではどうしようもなく、私たちは滋賀の自宅に帰ることになりました。残って立ち会うとなると大変だったでしょうから、結果的に立ち会い不可でよかったと今は思います。

 (福永)祐一さんによく連れて行ってもらった鰻屋さんで昼食を食べ、滋賀に戻りました。帰りの新幹線では疲れていたのか、子供たちもおとなしく、税理士をしているみっちゃんに今後の我が家のお金の事を相談しているうちにあっという間に京都に到着しました。

 在来線に乗り換えてふと外を見ると、そこには見慣れた滋賀の光景が。公園で遊ぶ親子、テラスでBBQをしている楽しそうな家族…。たくさんの幸せな光景が目に入ってきました。

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白浜由紀子

1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)

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