2023年08月11日(金) 18:00
関屋記念出走予定のセルバーグ(c)netkeiba.com
真夏のマイル決戦、関屋記念。新潟競馬場外回りの直線は約659m。向こう正面の直線距離も550mほどあり、都合1200m、75%以上が直線で構成されるコース。そのせいか毎年のように速い時計での決着が続いており、それに対応できる頑強さが求められるレースとなっています。
"頑強なスピード"と言えばGI・安田記念にも通ずるものがあり、同年の安田記念を使われた馬の好走が目立つレースとも言えるでしょう。安田記念での着順問わず、このパターンの勝ち馬を挙げるだけでも、ざっと7頭。コース改修の2001年以降、延べ出走頭数32頭で【7-3-4-18】、勝率22%、単勝回収率260%の好成績となっているのです。
しかし今年の関屋記念には"同年・安田記念"に出走した馬は存在しません。ならば "安田記念出走馬が良い"というデータに とどまらず、"安田記念に出走できるような馬、実績のある馬が良いのではないか"と考えた場合 どうでしょう。下の表は2001年以降の関屋記念勝ち馬一覧で、該当年の関屋記念以前に重賞を勝っていた馬には○、重賞勝ちがなかった馬には×を付けてみました。
■関屋記念勝ち馬一覧 2001年 マグナーテン × 2002年 マグナーテン ○ 2003年 オースミコスモ × 2004年 ブルーイレヴン ○ 2005年 サイドワインダー ○ 2006年 カンファーベスト ○ 2007年 カンパニー ○ 2008年 マルカシェンク ○ 2009年 スマイルジャック ○ 2010年 レッツゴーキリシマ × 2011年 レインボーペガサス ○ 2012年 ドナウブルー ○ 2013年 レッドスパーダ ○ 2014年 クラレント ○ 2015年 レッドアリオン ○ 2016年 ヤングマンパワー ○ 2017年 マルターズアポジー ○ 2018年 プリモシーン ○ 2019年 ミッキーグローリー ○ 2020年 サトノアーサー ○ 2021年 ロータスランド × 2022年 ウインカーネリアン ×
2001年以降、重賞勝ち馬の関屋記念出走は 延べ122戦17勝、勝率14%の単勝回収129%という成績になっています。続いて重賞を勝てずともオープン特別を勝っている馬はそれなりの成績を残せているのですが、オープン勝ちのない馬は過去22年で1度も勝てていないというデータまでもが見えてきました。つまりは、夏場とは言え関屋記念は実績重視のレースと言えるところでしょう。
■関屋記念出走馬、実績別成績
A群…重賞勝ち馬 B群…オープン勝ち馬 C群…オープン勝ちなし ※JRA成績のみ
A群 122戦【17-8-9-88】勝率14% 複勝率28% 単勝回収129% B群 89戦【5-5-6-73】勝率 6% 複勝率18% 単勝回収 97% C群 136戦【0-9-8-119】勝率 0% 複勝率13% 単勝回収 0% 合計 347戦【22-22-23-280】勝率 6% 複勝率19% 単勝回収 70% ※2005年は3着同着
このデータを前提とした上で、2023年関屋記念出走予定馬のABC区分は下記のようになります。
■A群 アナザーリリック セルバーグ ララクリスティーヌ ロータスランド
■B群 コンシリエーレ サクラトゥジュール ビューティフルデイ ミッキーブリランテ メイショウシンタケ ラインベック
■C群 アヴェラーレ カワキタレブリー ディヴィーナ ノルカソルカ フィアスプライド フォルコメン フラーズダルム
ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで関屋記念を解析していきます。印の列挙ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論に ぜひご注目ください。
■プロフィール 岡村信将(おかむらのぶゆき) 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。
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