2023年08月19日(土) 12:00
夏の北海道の大一番札幌記念は、スーパーGIIと呼ばれるほどいつも盛り上がる。GI馬が何頭か出ていて、秋を見据えて戦うその勇姿と、これらと対戦することで手応えをつかみたい上がり馬のチャレンジする姿と、とにかく見所が沢山ある。
洋芝の2000米、コーナーが4つあるコース。これまでの傾向から流れが極端に遅くなることはない。この10年を見ても、完全にスローペースだったのは1回だけ、それでもその逃げ馬は粘れずに終わっていた。ペースよりもスピードの持続力があるかどうか、そこに勝敗を分けるポイントがある。
逃げ、先行馬が駄目という訳ではなく、実力のあるものが前につけて良績を残すことは、ままある。2年前に勝ったソダシは、2番手から早目に先頭に立っていたし、昨年ペースをつくってクビ差の2着だったパンサラッサは、記憶に新しいところだ。そのパンサラッサは前走の宝塚記念で1000米通過57秒6で飛ばしながら大バテせずなんとか粘り抜いていた。春はドバイターフを逃げ切っており、平坦なコースなら可能性があると2番人気に支持されていた。
ところが3年前は違っていた。その夏、巴賞を逃げ切り函館記念が0秒4差の4着だったトーラスジェミニが、スローの完璧なペースで逃げたが、3角あたりから後続のプレッシャーを受け、「もう少し追い出しを待ちたかった」と木幡育騎手が述べたように厳しい競馬になり大敗、代って、直線はGI馬3頭三つ巴の競り合いになっていた。7冠馬アーモンドアイが代表する"強い5歳牝馬世代"のラッキーライラック、ノームコアが抜け出し、そこに最速タイで追い上げた一年上の牡馬ペルシアンナイトが喰い込むというゴール前となり、ハープスター以来6年ぶりに牝馬のノームコアが決め手を発揮し優勝していた。
最近の傾向として札幌記念は、上がり3ハロンの最速馬が上位に入ることが多く、緩みない流れでも最後まで脚を使える地力がもとめられる一方で、ロスなく立ち回れる先行勢が残るケースが多い。また、前走がGI競走だったものが、その着順に関係なく上位を占めるというのも、GII戦ならではの特徴と言っていいだろう。
今年はジャックドールの連覇を狙う。一段とレベルアップした。これにダービー馬シャフリヤール、馬体が戻ったヒシイグアスの順で取り上げ、札幌巧者ソーヴァリアントを押えにした。
もうひとつのスプリント戦、北九州記念は、スタート地点が下り坂で、前半3ハロンが32秒台のハイペースになることが多い。昨年のボンボヤージは16番人気ながら1番枠を生かし中団のインをロスなく運び、末脚を伸ばしていた。このタイプを狙いたい。前走インから突き抜けて3馬身で勝ったデュガの3連勝に期待する。これを追って牝馬勢から、ボンボヤージ、ママコチャ、スマートリアンを逆転候補に考えてみた。
「それぞれが 秋の主役に 名乗り上げ」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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