2023年09月06日(水) 12:00
現地時間2日(土曜日)に、ニューヨーク州のサラトガでG1ジョッキークラブゴールドC(d10F)、カリフォルニア州のデルマーでG1パシフィッククラシック(d10F)という、ダート中距離路線の中核となる一戦が行われた。11月4日にサンタアニタで行われるG1、BCクラシック(d10F)まで、まだ2カ月近くあり、各地区の最終プレップを残してはいるものの、戦線の輪郭が徐々に明らかになりつつある。
見えてきたのは、「3歳世代優勢」という構図だ。
やや手薄な顔触れによる争いとなったのが、東海岸で行われたG1ジョッキークラブゴールドCだった。
今年4月から6月にかけてこの路線のG3を3連勝後、前走エリスパークのG1スティーブンフォスターS(d9F)が2着だったラトルンロール(牡4、父コネクト)が、オッズ2.65倍の1番人気に推された。道中6〜7番手を追走したラトルンロールは、持ち前の末脚が不発で6着に敗退。
道中2番手を追走した2番人気(4.75倍)のブライトフューチャー(牡4、父カーリン)が、4コーナー途中で先頭へ。昨秋のG1クラークS(d9F)勝ち馬で、前走G3モンマスC(d9F)を制し3度目の重賞制覇を果たしての参戦だったプロクシー(牡5、父タピット、5.1倍の3番人気)が、道中4番手追走からゴール前で猛然と追い込んだが、これを鼻差退けてブライトフューチャーが優勝。G1で重賞初制覇を果した。
前走、サラトガの条件戦(d9F)を4.3/4馬身差で快勝しての参戦だったのが、ブライトフューチャーだ。ここを制し、BCクラシックの優先出走権を手にした同馬だが、管理するT.プレッチャー師はレース後、「今日は素晴らしいレースを見せてくれた」としながらも、「BCで戦うには、さらなる進化を遂げる必要がある」とコメント。BCクラシックの出否に関しては、言葉を濁した。
一方、3歳・古馬ともに骨っぽい顔触れが揃ったのが、同じ2日に西海岸で行われたG1パシフィッククラシックだった。
3月に行われたG1サンタアニタH(d10F)勝ち馬スティレトボーイ(セン5、父シャックルフォード)、5月に行われたG1ハリウッドゴールドC(d10F)勝ち馬ディファンデッド(セン5、父ダイアルドイン)、前哨戦G2サンディエゴH(d8.5F)の1.2着馬セニョールブスカドール(牡5、父マインシャフト)スローダウンアンディ(牡4、父ナイキスト)と揃った古馬勢を尻目に、ファンが上位人気に推したのは、3歳世代の2頭だった。
オッズ3.1倍の1番人気に支持されたのが、B.バファート厩舎のアラビアンナイト(牡3、父アンクルモー)。デビューから無敗の2連勝でG3サウスウェストS(d8.5F)を制し、ケンタッキーダービーの有力候補となったが、3冠戦を前にして戦線を離脱。半年ぶりの復帰戦となった、7月22日のG1ハスケルS(d9F)で3着に敗れ、連勝がストップしての参戦だった。
続いて、オッズ3.2倍の2番人気に推されたのが、R.マンデラ厩舎のゴーロケットライド(牡3、父キャンディライド)。1月にサンタアニタパークのメイドン(d6F)を制しデビュー勝ちを果たすと、続いて出走したG2サンフェリペS(d8.5F)で、その後G1サンタアニタダービー(d9F)を勝つプラクティカルムーヴの2着に好走。春3冠は回避し、2カ月の休みを挟んで出走したLRアファームドS(d8.5F)を制し特別初制覇。そして前走G1ハスケルSを快勝し、G1初制覇を果たしていた。
レースの主導権を握ったのはアラビアンナイトで、半マイル=46秒60という平均的ラップを刻んで逃走。直線に向くと二の足を使い、一旦は後続を2馬身引き離した後、道中3番手にいたゴーロケットライドが猛然と追い込んだが、これを首差退けてアラビアンナイトが優勝。G1初制覇を果たした。
人気通り、3歳馬同士の決着となったわけである。
この結果を受け、ブックメーカーの多くは、BCクラシックへ向けた前売りでアラビアンナイトとゴーロケットライドを、オッズ6.5倍〜11倍の2〜3番人気に浮上させている。
それでは、この両馬を眼下に見て、オッズ4.0倍〜4.5倍の1番人気に推されているのがどの馬かと言えば、1週間前の8月26日にサラトガで行われたG1トラヴァーズS(芝10F)を快勝し、G1ベルモントS(d12F)に続く2度目のG1制覇を果たしたアルカンジェロ(牡3、父アロゲイト)なのである。
冒頭に記したような、3歳勢が上位人気を占める形になっているのだ。
ちなみに、ここに日本から参戦予定のウシュバテソーロ(牡6、父オルフェーヴル)は、オッズ13〜17倍の6〜8番人気、デルマソトガケ(牡3、父マインドユアビスケッツ)は、オッズ17〜21倍の11〜14番人気となっている。
11月4日の本番まで、情勢がどう変わって行くか、注視したいと思う。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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