2023年10月21日(土) 12:00
菊花賞に皐月賞馬とダービー馬が揃って参戦した例は、これまで16回あったが、皐月賞馬が5勝、ダービー馬が1勝となっている。全体を見ても、皐月賞馬の16勝に対してダービー馬は10勝と、菊花賞では第一冠をものにした馬が一歩リードしている。
23年前の皐月賞馬エアシャカールvsダービー馬アグネスフライトも、菊花賞はエアシャカールが勝っていた。では、春にタイトルを分け合った2頭が、菊花賞でワンツーを占めた例はと言うと、実は2度あったのだ。
1973年にダービー馬タケホープが1着で皐月賞馬ハイセイコーが2着、1998年に皐月賞馬セイウンスカイが1着でダービー馬スペシャルウィークが2着になっていた。過去83年の菊花賞の歴史はこうなっているが、果たして今年のソールオリエンスとタスティエーラはどんな結果を残してくれるのか。また、多くの菊花賞馬が、春の二冠には手の届かなかったもので占められていたことも、重要なポイントになっていることを忘れてはならない。
秋を迎えもう一段階上がってきたとか、折り合いに不安がないので長丁場はいいとか、持久戦の方が得意なのでうまくこなしてほしい、初めての距離でも自分でレースをつくれるので流れが向いてくれればとか、各陣営には様々な思惑があり、そこにも光をあてなければならない。
特にこの3年は、春のクラシックは不出走だった馬が、菊花賞で2着に入っている点に注目した。3年前にコントレイルが三冠を達成したときにクビ差の2着に入った4番人気アリストテレスは、8月の新潟2000米で2勝目、9月中京2200米で3勝目を挙げて桧舞台に初めて登場していた。
2年前の2着馬オーソクレースは、2歳時にアイビーSを勝ってホープフルSで2着に入りながら、その後骨折で9ヶ月もターフから遠ざかり、セントライト記念3着で出走権を得ていた。
2頭ともスタミナのある血統だった。そして昨年の2着馬ボルドグフーシュは、6月の中京2200米で3勝目を挙げ、神戸新聞杯では大外から強襲して3着で本番を迎えていた。7番人気の伏兵だったが、出遅れて後方のラチ沿いで折り合いをつけ、外から最速上がりでアスクビクターモアにハナ差まで迫っていた。
今年このケースにあてはまるのは、神戸新聞杯小差の2着サヴォーナ、8月の新潟2200米でいいレースをして3勝目を挙げたリビアングラスのキズナ産駒2頭と、新馬戦で3着以外は4連勝で、全て最速の上がりをマークしているドゥレッツァの3頭だ。
大勢は、タスティエーラとソールオリエンスのクラシック3度目の対決に関心が集まるが、切れと迫力では皐月賞馬ソールオリエンスが日本ダービー以来のタスティエーラに一歩リードしているとみた。そしてコース経験のあるサトノグランツの一角くずしとしておく。
「鮮やかに 菊の大輪 淀に咲く」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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