アプリ限定 2023年11月20日(月) 18:01 46
▲「付けているほうが楽だから」と眼帯を付けていた白浜騎手(撮影:白浜由紀子)
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、昨夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。
自宅に近い関西の病院に転院するには主治医の許可が必要であるため、九州労災病院に訪れているふたり。鬼嫁が与えた試練(雄造騎手自身で診察の受付)を乗り越え、ついに診察の順番。
MRIの画像を診た、主治医の診断結果は──。
11月15日。落馬当日に救急車で運び込まれた九州労災病院に受診した日の続きです。
夫の診察の順番がきて、まずは私が診察室に呼ばれました。
脳の損傷の影響で物が2重に見える、複視という症状が出ており、眼帯を付けたほうが楽に生活ができるようで、夫は2週間ほど前から眼帯を付けていました。
数週間前に夫から「眼帯を送ってほしい。片目をつむったほうが生活しやすい」と何度か連絡がありました。リハビリの効率が下がるほどの吐き気や頭痛が出ているようであれば眼帯を付けることを検討してもいいのかもしれませんが、眼帯を付けるということは、複視の症状の改善を諦めることになるのではないかと思い、私はずっと送らずにいました。
何度頼んでも送ってこない私に痺れを切らした夫は、他の方に送ってくれるよう頼み、私の知らないところで眼帯を付けるようになりました。
私は何度か眼帯をオフするようにと伝えたのですが、「付けているほうが楽だから」と外さない夫。私はできればオフしてほしかったので、今の夫にとって眼帯はメリットとデメリットどちらが大きいのか、看護師さんを通して医師に質問しました。もしデメリットのほうが大きいのであれば、先生から夫に眼帯を外すよう進言してほしいと思ったから。
先生いわく、「現状ではオフが望ましいため、僕から話をしますね」とのこと。その後、夫も診察室に呼ばれ、複視と眼帯について主治医から説明がありました。
「吐き気や頭痛で日常生活に影響があるのならば、付けていてもいい。無理に外すことはない。ただ、オフしたほうが回復を促します。頑張れるなら、オフでいきましょう」と、夫に説明してくださいました。
すると夫は、「眼帯がなくても大したことはないです。今すぐ外します」と言い、あっさりと眼帯をゴミ箱へ。私があれだけ言っても頑なに外さなかったのに(笑)。
そして主治医はMRIの画像を診ながら、「びまん性軸索損傷」であること、記憶力の低下などは高次脳機能障害であると夫の現状を伝えてくれました。
白浜由紀子
1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)