2023年12月28日(木) 18:02
▲初コンビとなったジャンタルマンタルと朝日杯フューチュリティSを制覇(c)netkeiba.com
朝日杯フューチュリティSを制し2歳チャンピオンに輝いたのは、川田騎手と初コンビとなったジャンタルマンタルでした。
レースでは3〜4コーナーで、ルメール騎手がグイっと振り返るシーンがありました。「声を掛けてルメール騎手に道を開けさせた!?」と物議を醸したこのやり取りの真相とは?「読みながらパトロールビデオを見てほしいです」という、重厚な回顧をお楽しみください。
(取材・構成=不破由妃子)
──朝日杯FSは、初コンビとなったジャンタルマンタルで見事な勝利。レース後のコメントからは、ジャンタルマンタルへの期待がダイレクトに伝わってきて、川田さんの言葉としては新鮮な感覚がありました。
川田 本当にいい馬だなと思いました。すでに身体ができ上がっているような2歳戦に特化したタイプではなく、まだまだ幼い面を残しつつのあの走りですからね。朝日杯は通過点として、来年以降の成長が本当に楽しみな馬です。
──穏やかで性格がいいともおっしゃっていましたね。
川田 根の性格がよくて、基本的には穏やかな馬です。ただ、そういった性格と操縦性の高さはイコールではない。確かに「性格がいい」とは言いましたけど、それは前向きに走ろうとする気持ちがあることも含めて、競走馬として「性格がいい」と表現したつもりです。とにかく操縦が簡単で、というタイプの馬ではありません。返し馬では、解説の方が「折り合っている」と言っていましたが、実際はかなり行きたがって、溢れそうになるのを強く我慢している状態でした。
──あのですね、川田さんの場合、引っ掛かっていてもわからないんですよ。そう見えないから。
川田 見せないようにしてますからね。だから、ジャンタルマンタルに限らず「乗りやすそう」と表現されたりするんですが、実際はめちゃめちゃ必死に抑えていることが多々あります。
ジャンタルマンタルの返し馬でいうと、幼さを見せながらではありましたけど、馬場に入ってからもよく我慢して歩けていました。GIですし、お客さんの雰囲気もそれまでとは違いますから、「あれ? なんかいつもと雰囲気が違うぞ」みたいな感じで、まずは周りを眺めたりして。
──そのあたり、敏感に察するんですね。
川田 馬は臆病な生き物ですからね。雰囲気の違いなどは敏感に感じると思います。いつもとは違うGIならではの景色を受け入れてもらうために、ゆっくりと見せてあげながら、ほかの馬がきたタイミングで「じゃあみんなと一緒に行こうか」と誘導したのですが、キャンターに下ろすときも、多少焦りはありながらも我慢が利いていましたし、リズムが取れてからの背中の雰囲気は「走る馬」のそれでした。ジャンタルマンタルもそうですが、歩いているときに感じた緩さに対して「ああ、こんなにいいキャンターができるんだな」と感じさせるのが、まだ身体が幼い“いい馬”の特徴でもあります。追い切りに乗った時点で「いい馬だな」とは思っていたので、「やっぱりな」という感じでしたね。
▲「リズムが取れてからの背中の雰囲気は“走る馬”のそれでした」(c)netkeiba.com
──芝を走らせてみて、初めて答え合わせができたと。
川田 坂路のチップではなく芝を走ることで、その走りのよさをダイレクトに感じることができますから。「ああ、やっぱりいいな」と感じた時点で、普通に競馬をしてくれば負けることはほぼないなと思いました。
──ホントに!?
川田 はい。体調のよさと能力の高さを実感できましたから。相手についても、どの馬がどういう競馬をしてここに駒を進めてきたのかを普段から見ていますし、一緒にも乗っている。乗っていない馬についても、物差しとなるものがたくさんありますし、ほとんどの出走馬の能力は把握できているので、普通に競馬をしてくれば負けないだろうなと。
──さっそくレースを振り返っていきたいのですが、3コーナーから4コーナーに向かう間に、ルメールさんがグイっと振り返って、内にいる川田さんを確認しているシーンがありました。一部では、川田さんが声を掛けて進路を開けさせたのでは? なんていう声もありますが…。ぜひ、そのあたりの真相もお聞きしたい。
川田 声は掛けましたよ。ただし、・・・
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川田将雅
1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。
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