アプリ限定 2024年01月30日(火) 18:03
年末年始は引退の知らせをよく耳にします。特に活躍馬は繁殖シーズンを前に種牡馬入りしたり、お母さんになるべく生まれ故郷に帰るなど、血を繋ぐ仕事がこれから待っています。
とはいえ、名馬の引退は寂しさを覚えるもの。今回はその中から、栗東所属のGI馬4頭の担当者に、現役時代のエピソードを伺いました。母は牝馬三冠馬ジェンティルドンナで、期待を背負い続けていたジェラルディーナ、川田将雅騎手が涙のGI制覇を果たしたダノンザキッド、ダートで“帝王”の走りを見せたテーオーケインズ、香港スプリントでのアクシデントから復帰を果たしたピクシーナイト。それぞれに忘れられない思い出とは。
(取材・構成:大恵陽子)
ジェラルディーナと団野勝調教助手(提供:団野勝調教助手)
ジェラルのレースで一番印象に残っているのは、重賞初制覇のオールカマーです。それまでは展開が向かないレースなどが続いていたんですけど、横山武史騎手が内々を突くファインプレーをしてくれました。
担当になった3歳の頃はまだハミ受けがあまり良くなかったんですけど、賢い馬だからすぐに覚えて、どんどん力をつけてきてくれました。そうできるあたり、血統の力でしょうね。ポテンシャルも元々あったでしょうから、それに応えてくれました。
パドックは外から見るとうるさくて大変そうに感じると思うんですけど、1人で曳く方が楽でした。2人で曳くと、ハミがグッと掛かって余計にテンションが上がるんですけど、1人だとジェラル自身が自分で首を持ち上げながら歩くので、見た目ほどしんどくはなかったです。なるべくレース前に負担がかからないようにしていましたけど、パドックであんな風になっていてもレースではしっかり走ってくれました。
ジェラルとのお別れは、香港を出発する時でした。最後に写真や動画をいっぱい撮りましたね。これからお母さんになって無事に出産してくれたら、もうそれだけで十分です。
◆団野勝調教助手のお気に入りの1枚◆
「ありがとう」 ラストランの香港で撮影した1枚。香港を発つ前に撮影した動画↓もいただきました。(提供:団野勝調教助手)
ダノンザキッドと上野鑑寿調教助手(C)netkeiba.com
キッドのレースで印象に残っているのは、やっぱり新馬戦です。4コーナーですごい外に飛んで行きながらも勝利。強い勝ち方で、「やっぱり走るんだなぁ」と思いました。その年の暮れのホープフルSは勝った後、(川田)将雅が泣いていて、それを見てジーンときました。安田隆行厩舎は将雅がデビュー時に所属していた厩舎で、師匠と初めてのGI制覇。(長男の)安田景一朗調教助手もウルウルしていたから、勝ってよかったなと思いました。その後、GIで上位にはくるけどなかなか勝たずに終わってしまって、もう一つくらい勝たせてあげられたらな、と思います。
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